3バンドホイップアンテナ
HFのハイバンドはEスポシーズンになると、国内各地の局が聞こえて来ます。秋から春に掛けてはDX局が入りだし、一年中楽しめます。
Eスポでは、簡単なモービル・ホイップアンテナと10Wで国内とは十分QSO出来ます。使ってみると「もっと飛ばしたい!」とか「弱い局が聞こえない」等の不満が出てきます。
今使っているアンテナより、「もっと長くて大きなアンテナを使えば、よりチャンスがあるかも知れない」と考えるのは、私だけでは無いと思います。
確かに、短いアンテナは手軽に運用出来ますが電波が出る所が少ないので、当然効率が犠牲になっているはずです。
従って、短さよりも飛びに重点を置き、長さによる不便さは目をつむることにしました。およその設計
私の車は斜めにアンテナを入れた場合、最大2.7m程度まで入れられます。そこで「長いアンテナ」の限度が2.7mとなります。この長さだと走りながらの運用は出来ません、車を止めて使う半固定用アンテナとして使う事にしました。止めているので基台に負担が掛かりません、少し大きなアンテナでも気にせずに使えます。
アンテナは釣竿を使って作る事にしました。メーカー製のようなステンレス棒にするには接続の問題があります。その前に販売されてないので手に入りません(?)。
そこで、何処でも手に入るグラスファイバー製の釣竿を使います。これは少し太いのですが「軽くてアマチュア向きの、FBな素材」です。
21MHzは短縮コイルを入れた1/4波長動作のアンテナです。10mFMは1/4波長が2.5mなので長さもこのままでピッタリです。
6mは全体をマッチングさせるのは少し面倒ですから、全部を使わず途中まで使う事にします。これでアウトラインが出来ました。材料と作り方
釣竿はグラスファイバー製で、細目の物をDIYや釣具店で求めます。使ったのは3.5m物4段つなぎで、先端の3段を使う事にしました。
竿はコネクター(MP−10)に差し込み、作った物はちょうど差し込んだ状態で全長2.6mになりました。
つなぎ目同様エポキシ接着剤で、竿とコネクターをしっかり固定します。念の為「タップビス」で押えて補強してやります。
次ぎに、中央部に「コイルを付ける金具」を取り付けます。これはアルミ板又は燐青銅を丸めて、竿に接着します。下から銅線を緩くからませながら、金具の所で圧着端子を使いねじ止めします。
上部も同じでからませながら先端部分まで銅線をはります。この段階は仮止めで、セロテープで止めて置きます。
なを、車の大きさや釣竿の関係で2.6mより短くなる場合、後で調整しますからとりあえず作ります。
21MHzの短縮コイルは、5ミリの園芸用グラスロッド(2m物が売っている)を使いました。これに燐青銅(真鍮や銅板などでOK)を接着剤で固定します。
コイル部分は0.8mmUEW線を巻けるだけ巻きます、製作した物は93回です。調 整
測定器はバンド外のSWRが計れる物があると、手早く調整出来ます。普通のSWR計だけでもOKです。調整の基本条件は次ぎの通りです。
A.回りに何もない所でする。屋根や塀等が近くにあると、かなり周波数が変りますから注意して下さい。
B.使う車で調整する。せっかく調整しても、他の車だと車体の構造や基台の位置が違うので共振点が変ってしまうからです、必ず自分の車で調整して下さい(短くないので、たぶん作動すると思います)。[6mバンド]
51MHzでSWRが下がるように、下部の巻き付けの長さやピッチを変えて合わせます。
SSBが主体なら50.5MHzでも良いでしょう。長さ1.35m になっていればそれ程狂う事は有りません。
もし周波数が高くなっている場合巻き付ける線を多くします、つまりよけいに巻き付ける。[10mバンド]
ここは金具の所をシヨートさせ、[28.5MHz]でSWRが下がるように上部をカットして合わせます。
長さが2.5m程度で合うはずです。
アンテナの長さが2.5mより短い人は、上部の巻くピッチを狭くしてたくさん巻いて周波数を合わせます。つまり銅線の長さを長くするわけです。
これで先端までの長さが決まりました。ここまでは無難に合わせられると思います。[15mバンド]
このバンドは少し手強いです。初めにコイルを作り、21MHzより少し低め(20.9MHz) になるようにコイルを巻きほぐしながら合わせます。
もし、共振周波数が高い場合は、巻数が不足しているので少し細い線で巻き加えます。例えば10回ほぐし、そこから細い線にして15回巻きます。
これだけではSWRが下がりません、作った物はこの段階でSWRが[2.7] でした。
次ぎにCH(キヤパシティ・ハット)を付けてSWRを下げます。この時いくぶん周波数が上がるので周波数を下げておくわけです。
取り付け後、バンド内のSWRが[1.5] 以下になれば合格としましょう。(製作例では10x110mm,10x70mmをTの字に取り付けた。)
コイルやCHの調整でSWRは下げられますが、深追いしても飛びの方はほとんど変わりませんので適当に妥協します。
製作した物は共振点でSWR[1.1] 、インピーダンス55Ωになっています。全体として短縮率は70%程度ですからSWRも緩くバンド内を軽くカバーしました。オプション
原理的には、この近くのバンドである14,18,24MHz等も「コイルの巻数の変更で合わせられる」のでお試し下さい。
ただ、ホイップアンテナのインピーダンスは本来50Ωではなく、少し低くなるので、21MHzに合わせているので他のバンドではSWRを完全に下げられません。
でもSWRは1.5以下に合わせられるでしょう。出来上り
アンテナ保護の為に、コイルにエポキシ接着剤を付けて完成です。塗ったら21MHzで約100KHz下がりました。他の銅線部分も動かないように、少しづつ接着剤を付けて固定しセロテープを外します。
試してみると、以前21MHzのアンテナを1.2mの長さで作りましたが、2倍も長いので飛びの方も少し良くなりました。
受信で比較すると信号は確かに上って、長さが実感出来ました。でも、コンデイションが上っている時はそれ程差はありません。下がった時には効果が期待出来ます。
10mは短縮してないので、短いアンテナよりFBです。国内はもちろんDX用として実戦で使えます。
6mは金具より上は作動とていませんので、非常用という所でしょうか。試しに、2mも測ってみたらSWRが[3]程度有りました。
全体として「このアンテナはFBに出来た」と思っています。FB DX 73
99/3/10 変換
その後
21MHzで良く使っていますが、雨の時SWRが低下するのでコイル部分に一回り大きいパイプをかぶせて使っています。
これは釣竿の少し太い所を切り出し、エポキシ樹脂接着剤で防水させて使っています。
このアンテナは長いこともあって、けっこう飛んで楽しんでいます。また、このアンテナにアダプターを付けて、7MHzにQRV出来るようにしています。こちらも続けてご覧下さい。部品表
材 料 詳細 数量 釣竿 グラスファイバー製 3.5m物 1本 グラスロッド 園芸用5mm 20cm 銅線 1.2mm(又は1mm) 4m 銅線 0.8mm UEW 3m 燐青銅 50x120mm 1枚 圧着端子 3mm 4個 ビス 3X10mm 2個 ナット 3mm 4個 タップビス 3x6mm 1個 コネクター MP−10 1個
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