DC/DC コンバーター [HT7750A]


あかり!

 2011年3月11日の東北関東の大地震で、こちらでは「計画停電」が実施され、時間帯が夜に渡ると「真っ暗闇」になりました。
 そこで以前実験したDC/DCコンバーターを急きょ組み立て、使うことしました。

 回路的には以前のものと同じですが、ニッケル水素電池の単三2本を使って、白色LED直列に68Ωを入れ電流を20mA(5V)としました。これで適当に発光します。
 消費電流は2.4Vで62mAで効率67%という所です。電池は1000mA/Hでそのままで15時間は持つ計算になります。

 懐中電灯は明るいのですが、エネルギー消費も多いので「ローソク」の代わりになる、部屋が少し明るくするための道具として作りました。作ったその日に使うということでSWは付けていませんが電池を差して使っています。
 因みに火災の心配がありませんので、何かのケースに入れSWを付ければ使ってもらえそうです。ただ68Ωで発熱させているのは少しもったいない感じもします。
 電池は2本で動かしていますが1本でも点灯します。但し、少し暗かったので2本にして作動させています。(2011/3/17)



部品

 最近メーカーの製品にDC/DCコンバーターICがそっと使われていますが、私たちは市販されてないので購入出来ません。
 最近エレショップ(共立電子産業株式会社)で販売されているのを知り、取り寄せて使うことにしました。

 ICは安価な製品で手軽に使えます。単価は63円で、お店まで行ければ100円玉でおつりが来ます。
 送料がありますが通販で購入しました。注文してから1週間もかからず入手出来ました、特に慌てて使う物ではなかったので、少しぐらい時間がかかっても気にしませんが、(休日が間にあった)お店の処理が早く、以外に早く届きました。

 右の写真緑色の物はコイルです、トランジスタのような物がHT7750Aです。

[ 部品はTRの様な3端子形! ] 

 形は3端子形で、使い慣れたTRと同型です。量産用にチップのもありますが、半田付けが難しいのでこの方が使い易いです。
 3.3Vと5Vの物がありますが「PICを動かすのに使いたい!」と思っていたので5V動作の物を購入、おまけに3.3Vの物も予備として少し購入してみました(PICも3.3Vでも動きます・・・)。

dcdc_7750.gif

[参考DATA] エレショップの部品、の所に次の記載がありました。
HT7750A (Holtek Semiconductor Inc.のDATA)
 大好評のHT7750に出力200mA(Max)のAバージョンが登場!入力:0.7〜6.0V、出力:5.0V、出力電流:200mA(Max)、スイッチング周波数:200KHz、消費電流:5uA(typ)、効率:85%(typ)、パッケージ:TO-92。PFM=Pulse Frequency Modulation。乾電池1本でLED点灯やマイコン動作など、可能性を広げるデバイスです。

[ まずはブレッドボードで動作の確認 ]

 回路図の上の図をイメージして作業を始めました。
 一般にDC/DCコンバーターのコイルのインダクターは330uH前後の物を使うのが普通です。メーカーのサンプルを見ると100uHが使われていました。
 実験しているとどうもLが大きいと電圧が取れません!
 そこで手元のコイルを総動員して試すと、47uHが出力も多く取れ良さそうです。しばらくこれで実験を続ける事にしました。

 単4型、NI-MH電池1本の1.2Vで動作させ、5Vで何mA取れるか分らなかったので試すと[5mA]どうにか取れそうです。1.2Vの電池一つですから厳しいのは、初めから分っています。
 でも、5Vで5mA取れればPICで少しは遊べそうです

 動作は微妙で、初め不安定な動作になり、原因が良くわかりませんでした。どうもスイッチングノイズがIC自身をおかしくしているようです。
 安定に使うには少しコツが必要で、コンデンサーをたくさん付ける必要がありそうです。発振周波数が約200KHzでこの信号が周辺に影響するようで、充分なデカプリング用のコンデンサーが必要です。

 ダイオードはショットキーを初め使いましたが、おなじみの1S1588でもあまり変わらないので安価な物を使いました(手元にたくさんある)。

 動作コイルに付いては前記のようにあまり大きいと、逆に電圧が出て来ませんでした。大体47uH辺りか、もう少し少ないぐらいが、出力が増しました。
 PICも正確な電圧測定は、電源電圧が変動してはいけませんが、A/D変換も基準電圧を外部に用意すれば電源は多少変動してもかまわないはずです。つまり4.5Vなど、少しずれていても動作をさせる上で支障はありません(PICで基準電圧が内蔵されていると良いのですが・・・avrのTiny26は内蔵されている)。

 例 1: 入力1.29V 39mA 0.05W
     出力 5.0V 5mA 0.025W

効率 50%

 例 2: 入力1.44V 31mA 0.045W
     出力 4.94V 5mA 0.024W

 53%

 例 3: 入力2.71V 64mA 0.173W (電池2個)
     出力 5.2V 23mA 0.123W

 71%

 


[ 無負荷の場合 ]

 回路図で、上の物に100Ωと白色LEDを付けた物に、乾電池1.3Vで実験すると、電池と回路図にを電流計に設定すると28mA流れました。
 この時、LEDを外すと(無負荷)0.06mAと激減しました。ほとんどSWが不要なレベルです。

 電流の測定ですが、動作はパルス電流なのでテスタが正しく表示しているか疑問です。数字に付いては「まあある程度」という感じがします。
 全ての電流値は数字が正しい、とはいえないのをご理解お願いします。

 乾電池の場合、内部抵抗(インピーダンス)が色々で負荷を掛けると電圧が低下します、その度合いは個々の電池で変わるので再現性は良くありません。
 こんな点を含んでいるのを承知して、実験をされて下さい。(2009/11/19)


[ 次はLEDの点灯 ]

実験中

 PICなどを使うのに電池1本で動作出来るのが分りました。
 次に白色LEDの点灯をさせます、LEDは3.6V近くの電圧が必要で10mAぐらい流したいです(本当は20mA)。
 前の実験では5mA程度しか流せませんので、LEDを明るく点灯させるのは厳しいです。

 そこで何とかならないかと、電池2個式を考え[回路図2]を実験すると、電池1本でも8mA程度流せることに気が付きました。電圧は5Vにこだわらなければ何とかなりそうです。
 更に最適な部品を!と実験を続れると12mAまで流すのに成功しました。NI-MH電池1本でLEDが適当に明るく点灯します(ただ点灯だけなら5mA流せば、そこそこ点灯する)。

 回路図を見ると、100Ωが無駄にエネルギーを消費しています(これが今後の課題です、じつはこの部分で20%ほどロスっている・・・アリヤー)。

 写真は実験中!ダイオードはパラにすると少しは効率の改善があるのでチェックしている所です。
 結果はあまり変わらなかった。


 

入 力 出 力 Rのロス
 電池1個 1.4V 53mA 0.074W  11mA 0.051W  11mW
 電池2個 2.18V 65mA 0.141W  16mA 0.086W  25mW

 上のテーブルはL=33uHで実験した物。100Ωの電圧(電流)を調べたもので、電流を流せることが分った。
 ここから更にL=10uHにするともっと改善されることが分り、結局[回路図2]のようになった(多少問題を含んでいる)。

[ ここでまとめておく ]

[回路図2]の定数は次の通り。
 1.2VのNI-MH電池を使うことを主とし、単3か単4を1本のみ使う。入力1.2V 87mA、出力4.7V 12mA 効率51%
電池2個の場合、入力2.55V 160mA、出力6.5V 26mA 効率41%
 87mAも流れるので、単4電池では充電しても1時間程度しか持たないかも。古い電池だと30分程度か!でもこの程度あれば、自転車の夜間照明用に使えそうですね。

 電池2個式では、電流が流れ過ぎて、また効率も悪いので別のことを考えた方が良いかも。LEDも2個に分流して使った方が明るいはずです(電流を増やしてもそれにつれて明るさは増大しない)。

 コイルのインダクターが少ないと異常動作をすることが分りました、少し効率は落ちるのですがLは50-150uHを使いたい!メーカー指示は100uHである。

 68uHで実験すると
電池1本(1.2V)55mAで出力が3.9V7.5mA
電池2本(2.4V)57mAで出力が4.9V13.6mA
となった(正常動作である)。
 電流不足はICをもう一つ使ってパラ運転も考えられる。それとももっと良い方法があるのでしょうか。

2009/11/16 

 

[ 動作の原理 ]

パルス幅 コイルに電流を流し切断すると、発生していた磁力が取り残され瞬間的に電圧が上昇します。この電圧をダイオードで出力側に移して取り出します。
 このスイッチ動作を高速で繰り返すと、出力側のコンデンサで平均化して直流となり、結果的に入力電圧よりも高い電圧を取り出すことが出来ます。但し、エネルギーロスがあるので電流は低下します。
 入力エネルギーより必ず出力エネルギーは低下しますが、低い電圧を高くすることが出来るのでその様な目的に使えます。例えば乾電池1.2V〜1.5Vの電池を使い5Vで動作するPICの電源とすることが出来ます。

 実際の動作は、IC内に基準電圧を持ち、この電圧に達しない時は動作して電圧を上げ、電圧に達した場合は休んで電圧を下げます。これを繰り返すと「希望の電圧が得られる」という仕組みです。

 このICのSW動作は常に動作させ、パルスを狭くしたり広げたりして、電圧をコントロールするPWM方式を使っています。この場合周波数は一定でパルス幅が変更され同じ動作をします。


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