13Vで50W/15Vで80W
【 はじめに 】
このアンプは1-2Wの出力リグから50W出力を出す為に製作した物で、自作リグの増幅用に適しています。
主にFT-690用に使っており、移動での利用が主です。
以前30W出力の物(電気を消費しないのでFB)を使っていましたが、最近市販のリグが50Wや100W塔載が普通になって30Wでは馬力不足を感じて作った物です。(1994/APR)【 回路について 】
回路は基本的に10W出力と相違は無いので10Wの物も参考にして下さい。
コネクターから入って来た信号は、LCのマッチング回路を通りトランジスター(TR)のベースに入りドライブされます。
ベースのバイアスはTrを使った簡単な方式で、ダイオード2個使った一般的なものを使っています。
このダイオードに流す電流によって(半固定抵抗で)アイドル電流(無信号時の電流)をコントロール出来ます。TrはUHFで使えるもので非常に発振し易く、ベースには220PF*3のコンデンサーと抵抗を入れてインピーダンスを下げています。
出力側にも68PFと47Ωの抵抗を入れている、出力側はここでパワーが消費され多小発熱する為3Wの抵抗にしています。出力回路に使っているトリマーはプラスチックでは溶けてしまったのでマイカトリマー(300PF)を使いました。
出力フィルターはローパスフィルター(LPF)3段で、第2高調除去率は-50dB程度期待出来ます。
このLPFと出力マッチング回路を合わせると-60dBを軽く超えているはずです。スタンバイのコントロール信号はリグから、送信時に+が加わっているのでこれを検出してリレーを作動させます。
電源は約10A程度流れ、15V時最大12A流れましたのでヒューズは15Aの物です。
安全の為ダイオードを入れているがこれは電源を逆に接続するとヒューズが切れ、Trを破損から防いでいます。
以前電源を逆に接続して何回かTrをほかしたことが有る。放熱板は180*125*65のケースを使っていますが、コンテスト等でがなるとかなり発熱します。
ハードに使う場合、フアンを付けると良のですが鶴の一声式運用では(呼びに回る)必要ありません。入出力コイルは共に2回巻です、写真の様に結構小さいのですがこれで十分パワーは出ます。
入力側が1.2mm線2本、出力が1.8mmの線を使ったもっと太い線にしようと思いましたが予備実験で作動したのでそのまま組み込んだものです。入出力に共振回路を入れているので効率という点からするとFBです。でも帯域が十分取れないのが欠点でしょうか。
従って、52MHzなど上の方ではパワーはほとんど出ないのでそちらまで信号を出したい方は「再調整か回路変更」が必要となる。【 組み立てる 】
入力側はMPを同軸に付けリグに直接接続する、これの方が使い易い為です。
組み立ては、ベタのガラスエポキシ基板を貼り付けそれに半田付けして行きます。
出力部分とフイルターは0.3mmの銅板で囲い、シールドしている。リレーなどコントロール回路は4つ目穴の基板を利用して、基板に直接半田付けした。
メインTrは中央に付け、レギュレーターと熱検出用のダイオードは放熱板に接触させる。
ベースバイアス用Trも付けますが他のTrは発熱しないので単に半田付けのみとする。リレーやコントロール基板、LPFは別小形基板で予め作り、それをメイン基板上に載せる方式です。
これでかなり簡単に製作出来る感じ!基板はケース(放熱板)に3mmのネジを切ってビス止めにした。
【 調 整 】
別リグを用意し予めLPFを調整します。
パワー計を見て出力最大にトリマーを調整する、パワーが出ない場合部品が間違っている事が多い。調整中は必ずダミーロード又はアンテナを接続する事(保護回路を入れてないので)。
何もつながず、アイドリング電流を(信号無しで流れる電流)130mAとする、少し多めの方が音質はFB、半固定抵抗で合わせます。
ここで1A以上流れるのはどこか間違っているので直ちに停止し各部ミスが無いか点検する。出力計を付け、電源を10V程度にしてパワー計を見ながら、0.1W程度のパワーを加える。
各トリマーを調整しパワー最大になるように回せば良い。
これでOKなら電圧を13V程度まで上げてパワー最大に調整する。(この段階でドライブは0.1Wである)ここで「異常発振は無いか!」をリグで確認する、リニアをOFF−ONの時で声が大きくなるだけで「声質が変わらないか」を確認する。
念の為TVスイッチを入れ全チャンネルとも異常無いかを調べておく。運悪く「声がガサガサする」など発振している場合コンデンサーが外れていないか、回路の配線ミスが無いかを確認する。
各部OKなら1W-2Wのパワーを加えて規定のパワーが出ればOKだ、15V加えると80W前後出るので通常使う電圧で免許内のパワーになるようアッテネーターを入れてパワーを押さえる。
パワーが出ない場合「TRが悪くなってしまった」可能性が多いので製作途中では電圧を加えない事、悪くなる時はスイッチを入れた一瞬でいかれる事が多い。
当然のことだか電源コードにはヒューズを入れておく事、ノイズ防止用のコアなども入れておくと日頃のTVI防止にもなって一石二鳥。
【 完 成 】
増幅度が高いのでリニアリテイは悪い様だが、パワーは90W程度で飽和するので50Wで使えば音質的にはFBだ。(たしか、YESU FT-847も430MHz用として使っている。)
アマチュア的には70W程度まで仕える様だがこれ以上では音が悪くなるので無理をしないこと。移動用として使う為に作ったが固定でも使える、特にドライブパワーが少ないので(効率的)すこぶるFBだ!。
効率が良いのは移動にとって最適で、少ないエネルギーで運用出来るので「このアンプは魅力的なアンプ!」と思っています。コンテスト等で怒鳴るとけっこう発熱するし「長時間運用する場合、放熱用のファンを取り付ける必要がある」、FMで使うと猛烈に熱くなるので更にパワーセーブも必要。
車のバッテリーを使った時パワーは約50W、15V加えられる家では80Wの出力が出る感じだが、ここまで引き出すと音も悪くなっているはずです。
将来的にはファンやALCを付けたいと思っている。【 製作してその後 】
97/7 入力リレーを交換した(9V>12V)。
98/4 動作不安定の為、出力用リレーを交換した。(これは秋葉原出身の中古リレーを使った為で、接点が付いたり離れたりしていた。)その後、時折「異常発振のチエック」をするも正常に作動している現用のアンプです。
2.5W(FT-690)でドライブすると少しドライブがオーバーぎみで1W程度でちょうど良い感じ、スペアナで見るとあまりおかしくないが、ローカルの評判(音が悪い)が良くないので最近(99/4)パワーを1Wに下げて使っている。
99/06/03 html変換
[トランジスターのDATA]
- 2SC3102 (三菱/本格的なUHF用TR)
- Vcbo 35V
- Ic 18A
- Pc 170W
- Tj 175℃
- Out-65W In-20W 520MHz-12.5V