430MHz用 スタックループ・アンテナ
予算 2000円です!


全体の写真

430MHz スタックループ・アンテナ

 ハンディ機に手頃なアンテナといえば、付属のホイップアンテナですね。これを使うと直ぐに気が付くのは、少し動かすと信号が弱くなって聞き難くなる点です。
 ローカルとのQSOでも動かすとかなり信号は変化します。そこでもう少し利得のあるアンテナを使いたいと思っていました。

 簡単で、たまの移動にも使えるように少し大きめなループアンテナを作りました。結果が良かったのでおすすめします。
 写真は河原で調整し、SWRのDATAを取った後で撮影しました。

ループの図

なぜループ

 アンテナの代表は八木かGPと相場は決まっていますが、430MHzの信号は反射を使ったQSOが可能になるほど反射波が使えます。
 一度電波が反射すると偏波が変わることもあって、普段使っている垂直偏波の外に水平偏波成分も作られ飛んで来ます。
 そこで、もし両方の信号を捕らえる事が出来れば、交信効率も上って快適になるかも知れません。
 こんなうまい動作をしてくれるのがループ系のアンテナです。垂直偏波オンリーの八木系アンテナとは少し違った感じで使えるのが特徴です。
【 材料表 】
材 料詳細数量
水道管VP-13 1.2m1本
アルミ管5mmφ160mm2本
アルミ管6mmφ160mm2本
タップビス3*5mm12個
圧着端子 3mm用12本
錫メッキ線TA 1mm1.5m
同軸ケーブル3C-2V 1.5m2本
同軸ケーブル3D-2V 1.5m1本
同軸ケーブル5D-2V 0.2m1本
クロス金具TV用1個
プラグBNC-P(3D用)1個

部品と製作

 ブームは市販の水道管(VP-13) を1.2m使いました。アンテナ間を約1波長取れる寸法です。
430MHzになると、アンテナの形は小型になり直ぐに作れます。簡単ですから「もう一つ作って2個重ねれば性能も2倍になる」ということで、「スタック式アンテナ」にしました。

ループの図

ループの片側  実は、予備実験を針金で作って見ました。SWRを下げて目安を付けて作ったのですが、なんとSWRが下がらずあわてました。
 結局、使った材料が初め作った物より細い1mmの線を使いました。このため、寸法を大きくしないと共振点をバンド内に持って来られなかったのです。
 従って、「使用線材は1mm」と限定します。もしこれより太い材料を使う場合は、全体の寸法を小さくする必要が有ります。

 取り付けに使ったアルミ管は、手持ちの関係で5ミリと6ミリの物を使いましたがどちらでも使えます。こちらは共振点にあまり影響を与えないので、変更しても問題ありません。
ワイヤーの取り付け図  アルミ管の取り付けは、ボンド(接着剤)を十分付けて固定します。これは固まるとしっかりしたストッパーになります。更に何か金具で補強するのも良いと思います。
 アルミ管を取り付ける穴は慎重にしましょう。少し小さい穴を開け、細いドライバーを差し込んでやすりで広げて「垂直出し」をします。
 多少の凸凹はSWRの調整で電気的に合わせられますが、見てくれは直せません。あまりひどい時は作り直しが必要になるかも知れません(でも、それって自分で容認すれば済みますけど・・・!)。

 エレメントは1mmの錫メッキ線を使いました。圧着端子を先端に付け3mmのタップビスで止めます、予めアルミ管には2.5mmの穴を開けておきます。
 給電部も同様錫メッキ線と圧着端子を使いここもタップビスで止めます。あまり「ギュー」と締め付けると穴がバカになるので気を付けましょう。
 ケーブルの接続は芯線が上、編線が下側としたらもう一方のループも同様にします。これで位相が合う事に成ります。逆にするとビームが変形したり、利得が下がる場合があって特に注意が必要です。
結線図

マッチング部分

 各アンテナは50Ωで出来てますから合成器(Qマッチ)が必要です。
シュペールトップ  まず75Ω系の同軸ケーブルを、577mm(5/4)波長に短縮率67%を掛けた物)の長さに切って、これを2本作ります。これに50Ωのケーブルを付け手おきます。ハンデイ機に使うので先端には BNCプラグを付けます。

 長さは任意ですが、普通短縮率を加味した1/2波長の整数倍の長さにして使います(例えば924mm)。
 ループアンテナは平衡のアンテナなので、このままだとケーブル上に電波が乗りますが、これは良く使われている「シュペールトップ」で対応します。長さは1/4波長で約165mm(精度は要求されません)です。

 同軸ケーブルにSan Hayato 社の「磁気ガード(銅はく)」を張って作りました(ここは図の様に1回り太い同軸ケーブルのあみ線でも良い)。仕上げ後は防水の為テープを巻いておきます。
SWR図

調 整

 エレメントごとにSWRを測り、予め[1]近くまで下げておく事が大事です。
 共振点(SWRが下っている所)合わせは、アルミ管の先端に5mmおきに取り付け穴を開けておくと、取り付け位置をづらしながらSWRを合わせられます。幅は約 155mmで合うはずです。

 両方のエレメントを電気的に合わせたら合格です。メカ的な寸法は両方のエレメントで異なる場合も有ります。これはアルミ管の取り付けが正確で無い為で実用には問題ありません。
 もし、共振周波数が下がらない場合は1mmから1.4mm のように太くすると少し周波数を下げる事が出来ます。
完成写真

仕上げと調子

 出来上がったら、給電部は防水の為エポキシ系の接着剤で保護して下さい。同軸ケーブルはビニールテープを使って固定します。
 SWRは図のようにバンド内[1.0]近くまで下がります。

 信号ですが、ローカルのレピーターは、ホイップアンテナでは動かすと信号が下がったりするのですが、このアンテナではどちらへ回してもSメーターが振りきれです。利得は大幅に上がっているのが解ります。
 予想利得は8dBiほどですが、反射を拾う能力が強いので八木の 3-6EL相当の実力があると思われます。
 ビームは8の字形です。転させると思わぬ方向から信号を拾うことがあります。

99/3/23変換


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