50MHz用 4EL HB9CV・アンテナの製作
(コメット社タイプ)予算 9000円


 HB9CV・アンテナ

本体の写真
 最近50MHzの移動スタイルが、少し変わって来ました。
 以前(1990年頃)はHB9CV(2EL)を持って、皆さん山や丘に移動しておりました。ほんの一部の人が固定用のアンテナを持って、大型移動をしていたものです。

 所が最近、初心者のお手軽移動も2ELから4ELのHB9CVに変わっています。
これはコメット社から4ELのHB9CVが発売されて以来、アンテナが持っている高性能が皆さんに認められ、移動用アンテナとして普及して来たためです。

 【 すごい4EL 】

 HB9CVはそれ自身小型で軽く、結構飛びもFBで多くの方に愛され使われて来ました。そして「50MHzの移動といえばHB9CV」と定番になって来たのです。
 1985年頃JA1GHP・大野氏が4ELを実験し、かなりFBだったことから口込みで広まりマニア間で使われて来ました。

 4ELを使うとノーマルのHB9CVに比べSで1つは上がって来ます。これは10W局が50Wに増力したのと同じで、その威力は素晴らしいものです。
 アンテナですから送信だけではなく、受信信号も上り「ターボHB9CV」とでも呼びたいぐらいな性能です。当然HB9CVフアンが増加したのはいうまでも有りません。
 ただ、八木アンテナに比べると、給電部が2か所あるので組み立に手間どります。この辺の兼ね合いでゆっくり普及して来ました。

 【 メーカー製のアンテナが出た! 】

メーカーロゴ
 HB9CVよりも良いアンテナが欲しい、という潜在的な要求が有りました。
 巷の噂が届いたのか、コメット社から4ELのHB9CVが発売され、移動のパターンが2ELから4ELに変わって来ました。
 これは性能からいっても当然で、重さも0.9kg から4ELで2.1kg と約倍程度と、比較的軽く片手で楽に持てます。

 移動用のアンテナは「重さ」と「使い易さ」が重要ポイントです。「このアンテナはかなり得点が高い」といえます。
 因みに、同社の6ELと比較すると6.3kg と更に3倍も大きく重くなっています。
 これでゲインもドーンと上がるわけでは無いので魅力は減ります。まあ性能が十分あるので移動としては4ELでも十分でしょう。

 ロケーションの良い所で運用すれば、ゲインの低下は十分カバー出来るし、本体が軽い方が設置は楽でその分高く上げられ、高さのゲイン増加も馬鹿になりません・FBです。
 平地や河原の土手移動では高さが物をいうので、出来るだけ軽いことが移動アンテナの条件です。

 【 FBなら作ろう 】

 HB9CV本体を作るのは手間が掛かります。ここは市販の物を使います。
 手持ちの関係で「マルドル」の物を使いました、他社の物でも考えかたは同じです。お店で売っている物を使って下さい。
 寸法は図の通りです。特徴は出来るだけ軽く作りたいので、細目のブームとエレメントを使いました。

 マストクランプは手持ちの物を使いました。HB9CVに付属しているものを使っても良いでしょう。

目玉クリップの取り付け(表) 目玉クリップの取り付け(裏)

 エレメントは6mm、8mmのアルミパイプを使います(ハム・ショップではこれが一番細い)。
 ブームは16mm、19mmのアルミパイプです。これにエレメントを付けますが方法は移動局で良く使われているクリップ方式を使います。
 これだとエレメントに噛ませるだけなので5秒でOK。まったく時間が掛かりません、だれが考えたのかうまい方法です。
 これで、軽くて・組み立ての簡単なアンテナが出来あがりました。

 【 作り方 】

2重パイプ
 まずアルミパイプを寸法通りに切、エレメントとブームを作っておきます。接続はタップビスで止めます。
 HB9CVは車で移動する関係で基本部分を組立ておき、エレメントの先を現地でネジ止めする方式にしました。
 もちろん購入したままでもかまいません。その場合、組み立てに時間が掛かります。
寸法図
 デイレクターのエレメントは組み上げて置き、移動先で止めるだけです。
 止めはブームに力が加わるので写真のように1回り太いパイプ(19mm)を付けます。Uボルトで目玉クリップをめます、この辺は写真などを参考にして下さい。

 この時Uボルトが長い場合、ナットが締まる程度の長さに金のこを使って切り取ります。
 これで出来上がりです。固定(家)で使う場合は目玉クリップでは取れ易いのでエレメント・ブラケットを使います。
 製作上のポイントは「エレメントの寸法」と「間隔」です。ここをしっかり決めてやれば予定の性能が期待出来ます。

 【 測定と仕上げ 】

SWR
 給電部のショートバー位置はオリジナルの物からコメット社の寸法に変更します。
 このアンテナのSWRは作っただけで、図のように、50〜53.5MHzまで実用範囲内に入っておりFBの一言(コメット社さんTNX)。
 幾分コメット社の物より共振点が低めになっているが、実用上まったく問題ありません。

 ショートバーの関係でしょう、SWR表のように共振点が2ヶ所有ります。前後のエレメントの共振が異なる為でしょうがこれでも「利得は低下してない」ので問題ありません。
 それから、目玉クリップは雨ですぐ錆びますから、スプレー(塗料)を掛けて防ぎます。
 エレメントは色ごとにスプレーしておくと、組立て時に便利です、試して下さい。

 【 出来上がって 】

 メーカー製4ELの重さが2.1kgに対し、作った物は1.6kgと75%の軽さで出来ました。運用も、現地でのセットアップ時間が8m高で約7分と素早くオンエア可能です。Eスポやグランドウエーブ等なんでもOK、実に良く飛ぶアンテナです。

 現在(94年)の移動は飛びと使い易さで、このアンテナを主に使っています。
組み立て前の写真/16Kb)と(組上がった物の写真/13Kb)です。
 作るか、買うか!とにかくこの4ELのHB9CVは一本欲しいアンテナです。6mマンに超おすすめです・・・HI。

 この後、この「HB9CV+2ELのバージョンアップ・アンテナを作った」方とQSOしました。何人かの方が作られてうまく作動したようです。
 このアンテナは94年に作って使っていました。2005年3月現在でも、直ぐに使える状態で家にあり、現役のアンテナです。たまにローカルコンテストがあると使っています。
出来上がり
[材 料 表]
品目詳 細数量
HB9CVマルドル(他社でも可)1組
アルミパイプ19φ 1m1本
アルミパイプ16φ 2m1本
アルミパイプ8φ 2m1本
アルミパイプ6φ 2m2本
アルミパイプ22φ(スペーサ用)30mm1本
マストクランプMC−701個
Uボルト33mm ナット付m2個
タップビス3.5X10mm3個
タップビス3X6mm6個
マストクランプ金具2個
目玉クリップ4個
[4EL HB9CVの寸法]
項目メーカー製作った物
半値角54°
利得10.4dBi
重さ2.1kg1.58kg
回転半径2.3m
Re2970mm2970mm
Ra2720mm2760mm
D12610mm2630mm
D22560mm2580mm
Re-Ra750mm760mm
Ra-D11050mm1050mm
D1-D21400mm1400mm
ショートバーRe600mm600mm
ショートバーRa310mm310mm

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