10m FM用 ツエップアンテナ


ツエップアンテナ

概念図
 このアンテナはダイポール・アンテナを片側から給電する方法で、これを「ツエップアンテナ」と呼びます。
 厳密にいうと、本来の「ツエッペリン・アンテナ」とは少し給電部が異なるので、別のアンテナともいえますが、ここでは形がにているので「ツエップアンテナ」とします。
 普通ダイポールは中央から給電するのですが、端から給電するのが最大の特徴です。
 ダイポール・アンテナは中央が重くなるので垂れ下がります。この方式では片側から給電するので全体の重さは両脇の負担になります。この為設置は非常に楽になるのが特徴です。
 又、斜め設置も簡単ですから、移動等でアンテナが建て易い点が上げられます。反面端でインピーダンスが高いのでマッチングが難しいく、多少ロスがでるのが欠点です。
 これらの特徴の中で、最大のメリットはやはり「手軽にアンテナを設置出来る」 事でしょう。マッチング面を工夫して作って見みました。
 インピーダンスを高くするのに共振回路を入れます。これによって手軽に周波数を合わせる事が出来ます(多少強制的に合わせられる)。
 一方コンデンサー(バリコン) を使うのでここに使う耐圧の問題が新たに発生します。市販の物が手に入るので50Wなら利用出来ます。

売られています

全体の写真図
市販品は「サガ電子工業」から1.9-50MHz までシリーズで売られており、使っている局と何度かQSOした事があります。
 評判もFBで、ツエップはお手軽アンテナの一つのようすでした。
 コメット社から「ツエップ・ライク」として売り出されています(99/1作成時)。

構造と部品選び

回路図
 回路的にはダイポール・アンテナですから特別な物では有りません。ただ給電方式が片側から給電しているのでインピーダンスが高くなります。この為、普通のダイポール・アンテナとはマッチング方法が少し変わっています。
 やり方は数種類ありますが共振回路を使うのが簡単です、これにしました。
 共振はLとCで決まります。コンデンサーは市販のエアーバリコンを使うのとコイルは簡単に作れるので自作する事にしました。
 給電はコイルにタップをとってマッチングを取る方式です。若千同軸ケーブルに信号が乗りますがアンテナにエネルギーを供給する反動と思っています。
 アンテナのエレメントは1.2mm の銅線を使います(これはDIYのお店で売っています)。太い方が長持ちしますが長さが5m程度なのでこれを使いました。
 ワイヤーで作りますが、垂直で使いたい場合パイプでもかまいません。
 グラスファイバー製の釣竿に絡ませてやれば使えますね、これだと立て横自在に設置出来ますからアパマンハムにはFBでしょう。

製 作

コイルとバリコンの写真
 プラスチックケースにM型コネクターを付ける穴を開けます。ここは「シャーシーパンチ」16mmの物を使うと簡単です、持ってない方はやすりで開けて下さい。
 道具は有るときれいに早く仕上がります。あまり開ける機会も少ないかも知れませんが有ると便利です。
 外に取り付け穴を予め開けて置きます。基板には4mm のビスをヤスリで良く磨いて半田付けします(磨かないと半田が良く付かない)。
 本体とアンテナを支えるのに力が両方から加わるので、プラスチックケースが長期間持ちません、中に基板を入れて補強しました(写真)。
 片方は紐で縛る事にして、銅線2本を輪にしています。写真のように基板に半田付けして有ります。
 アンテナ線は銅線1.2mm を1/2波長の97%の5mとしました。先端には絶縁用に碍子(プラスチック)を入れて下さい。パイプで使う場合は95% 長と少し短くします。
 コイルは巻数13回で約0.8μH(150Ω) になります。正確でなくてもバリコンで大幅に合わせられるのでおよそでOKです。つまり作り方もだいたいで良いのです。
 インダクタンスはこの2-3倍程度にする事が多いのですが、今回はマッチングの関係でこの値を使いました。
 プラスチックケースには小さな水抜きの穴を幾つか開けておきます。これは中に雨水をためない為です。

コイルの作り方

コイルの作り方
 コイルは12mmのパイプにビニール(ラップ)を巻いて、その上に銅線を15回スペースを取りながら巻き付けます(巻幅3cm程度)。
 次に「エポキシ樹脂系接着剤」を付けてコイルがバラバラにならない様にします。この時コイルの一部に接着剤を付けます。
 固まったらパイプ、ビニールを外すとコイルが出来ます。やって見ると意外と簡単でFBな物が出来ます。

調 整

SWR表
 アンテナの調整には「SWR 計」と「デイプメーター」が必要です。
 まずコイルとコンデンサーで共振させます。これはデイプメーターで約29MHz に合わせ予め印を付ける。後は実際に調整する時にわずかな調整だけで合います。
 ここからは野外調整です。寸法通りのエレメントを付けると、SWRはバリコンを回すだけでかなり下がるはずです、29.15MHzに合わせて下さい。
 次に、タップの位置が問題です、1回から2回にポイントが有りました。[1.5回]前後を探して下さい。
 なをエレメントの先端、50cm程度に何も無い状態で調整します。又高さも1/4 波長の2.5m以上の高さに上げての作業が望ましいです。

完成して

出来あがり
 パワー的に見るとタップ1.3 回ですと10倍のステップアップになるので電圧が10倍になります。
 バリコンの耐圧が500Vの場合、Max Power 25W 対応となります(100W で使う方はバリコンの耐圧が1000V の物を使って下さい)。
 IC-575(10W) で使って見ました、SWRは表のように[1] 近くまで追い込めましたが共振回路を使っているのでバンド幅が取れません。
 ワイヤーからパイプに変更すれぱもっとバンド幅が取れると思います。欠点はここでしょうか、タップの位置を上げると多少改善出来ますがわずかです!
 一応、FMバンドはカバーしているのでそれなりに楽しめます。
  FB DX 73 & 88 (1999/1-2005/2)
 このツエップアンテナを他の周波数にする場合、コイルを600Ωで設計して下さい。
 本当はもっと高い方が良いのですが、作り易さからみると少し低めの450Ωなどにする方が良い。
 本来の性能面から見ると1000Ω以上にするとFBです。
材 料 表
項 目説 明数量
プラスチックケース54X93X29mm1個
銅線1.2mmφ7m
コネクターMR1個
バリコンタイト、500V 50PF1個
つまみ1個
ビス3X10mm5個
ビス3X5 mm2個
ビス4X15mm1個
ナット3mm5個
蝶ナット4mm1個
基板15X60mm 1枚
ラグ3mm1個

[メニューへ(Menu)](To Antenna menu) [Home]

inserted by FC2 system