はじめに
| このアンテナは、私の所に1200MHzのリグが来てQSOを楽しんでいた頃、ふと移動に便利な小型の「八木アンテナが欲しい」と思い、作ったアンテナです。
当初、マッチングが悪くSWRが高く(3近く有った)、使い物になりませんでした。その後そのマッチングをやめて、「ガンマーマッチ」に変更しました。結果、SWR計もほとんど振れずFBな動作になりました。
このアンテナは移動で何度も使っています。UHFコンテストに参加して、何度か入賞の実績が有るFBなアンテナ(と思っている)なので安心して使えます。
市販品では小型な八木アンテナは少なく、あってもかなり高価です。このアンテナは非常に小型ですから材料も身近かにあるもので作れます。
日曜大工で簡単に出来ますので「おすすめアンテナ」といえしょう。もちろんHOMEでの使用も十分使えますのでぜひ作って下さい。 |
材料に付いて
[材 料 表]
品目 | 詳 細 | 数量 |
角棒 | プラスチック25x25x700mm | 1本 |
パイプ | しんちゅう 3φx150mm | - |
線 | ステンレス線16番(1.5mm) | 2m |
線 | 銅板 0.3x4x50mm | - |
同軸 | 1.5D−2V | 5cm |
同軸 | 5D−FB | 3m |
- | ひも | 1m |
コネクター | NP−5 | 1個 |
- | エポキシ系接着剤 | - |
- | マストクランプ/個別に購入した | - |
- | Uボルト90x35x5mm | 1個 |
- | 座金 | 1 |
- | ワッシヤー | 2 |
- | 蝶ナット | 2 |
| ブームはDIYショップで売っていた、プラスチックの角棒(25x25x700mm)を使いました。
プラスチックの角棒ならなんでも良いと思います。丸棒だとエレメントの取り付けが少し面倒になりますが、入手出来ない人は使って下さい。
エレメントはステンレス16番線(1.5mm)を使いました。他の銅線や真ちゅう線でも良いと思います。
ラジエター(Ra)は3φの真ちゅうパイプを使用し、SWRはガンマーマッチで合わせています。ここも同じ3φのパイプを使います。
マッチング用として、3φパイプの穴に入るビニール線(細い同軸ケーブルの芯線など)が必要で、コンデンサーとして作動します。
給電用に5DーFBを3m使いました。短かく使うのであれば3Dー2Vでも良いでしょう。
マストクランプはブームが短いので最後部に付けました。近くのDIYショップで単品を組み合わせています。
他の材料もお店で探して下さい。午前中に買い出しをして、午後製作すれば一日でアンテナが出来そうです。 |
製 作
| 先ずエレメントを寸法通りに作ります。ステンレス線をペンチで切りますが固いのでかなりラフに作りました。でも誤差は1mmぐらいにします。
気になる方は切断砥石で正確に加工して下さい、ステンレス線は固いのでアルミ線の方が作り易いかも知れません。
ラジエターは真鍮パイプを切って、予め組み立ておきます。
エレメントをブームに付けるのは、プラスチック接着器「ピタガン(商品名)」で接着させます。
ピタガンよりも「ホット・メルト」の方が知られているようです、これは「プラスチックを熱で溶かし、熱い内に接着する」ものです。
あらかじめ角棒に接着すべき位置にマジック等で印を付け、そこにエレメントを置いてピタガンで止める方式です。慣れてくると12本ぐらい直ぐに(5分か!)接着出来ます。
この方式の良い点はカッターで簡単に剥がれる事です。ミスが後で分かっても簡単に取り外せ、修正が出来て便利です。
エレメントを付ける前に、角棒にマストクランプ用の穴を開けて置きましょう。
ラジエターに同軸ケーブルを付け、押さえとしてひもで縛って固定すると出来上りです。 |
調 整
| SWR計でSWRが下がるように、ビニール線の長さを加減します。もし調整出来ない時にはショートバーの位置を変更しますが、多分この寸法で(外側から30mmの位置)SWRは下がってくれるはずです。
調整は「ビニール線のはんだ付けを外し、少しカットしてSWRを測る」これの繰り返しでSWRを下げます。
ビニール線を初め長めにして、切りながらSWRを下げると簡単に合います。
SWRは、使う周波数でSWR[1.2以下]を目標に調整します。
寸法ミスが多少あっても、このマッチング方式だと合ってしまいますので便利です。
出来上がって調整が終わりましたら、マッチング部分の防水加工が必要です。ここもピタガンで覆ってしまうとFBです。
☆ ☆
DATAとして「オリジナルDATA」をパソコンで計算した結果を入れました。それにパソコン上でFBな点を求めたDATAも[better]として入れました。 |
完 成
| ビームもなかなか利いて、レピターのアクセスも5/8λ×3よりもぐっと伸び、ちょっとした運用には十分です。
移動には地上高2m以上にすれば十分で、車での運用なら窓からケーブルを引き込んで使いましょう。
周波数も高いのでロスの事を考えると、出来るだけリグとアンテナ間を直結にして、他のケーブルを使わないようにします。
運用ですが、山が見える所でしたらアンテナを向けてCQを出すと、山がムチャクチャ電波を反射してくれるので、思わぬ方向へ飛びます。
アンテナを回す手間がはぶけ一石二鳥です、お試し下さい。弱い局が呼んで来た時だけアンテナを回せば良いのです。
430MHzよりも更に反射の多いバンドですから、そんな使い方も出来ます。このアンテナはあなたを十分楽しませてくれる事でしょう。FB−DX 73 |
ELEMENTS DATA
No | spc | org | bett | size |
1 | 0mm | 120mm | 118mm | 1.5mm |
Ra | 47 | 111 | 108 | 3.0 |
3 | 44 | 101 | 104 | 1.5 |
4 | 44 | 98 | 104 | 1.5 |
5 | 44 | 98 | 100 | 1.5 |
6 | 44 | 98 | 100 | 1.5 |
7 | 44 | 92 | 98 | 1.5 |
8 | 44 | 92 | 96 | 1.5 |
9 | 44 | 92 | 96 | 1.5 |
10 | 44 | 90 | 96 | 1.5 |
11 | 44 | 90 | 94 | 1.5 |
12 | 48 | 86 | 94 | 1.5 |
|
ELEMENTS DATA-2 (Soft YSIM)
項 目 | orgDATA | bett |
Gain | 10.77 | 11.41 (dBd) |
F/B | -18.3 | -25.5 (dB) |
-3dB | 40.8 | 36.9 deg |
Inp | 42.4 | 31.8 ohm |
* | +27j | +2.2j |
|
[ひとり言!]
| このアンテナを作った時(1992年)、まだアンテナ計算ソフトは私の所には有りませんでした(ものすごくDATAを入れるのは手にしたのですが、面倒で使わなかった)。
この表では、Orgが製作したDATAでBettがパソコンソフトで計算したものです。
利得もその差-0.64dBでまあまあの出来かと思っています。測定器で測らないと分からない程度の差です・・HI。 |