50MHz スクエアロー・アンテナ


全体の写真

 ダイポールを水平に曲げ、正方形にした物をその形からスクエア・アンテナと呼んでいます。
 以前50MHz のアンテナとしてかなり流行してましたので、古いコールを持っている方はご存知のことと思います。

 当時は商品名「スクエアロー」という名称で親しまれていました。このアンテナは小形で安価で売られていたので50MHz の入門用として使われていました。
 当時のアンテナはパイプ式でマッチングはガンマー・マッチで作られていました。

 今回は簡単に作る為に「ワイヤー式」で作って見ました、マッチング方法もガンマーマッチからLマッチに変更しています。

寸法図 アンテナの性質

【まず準備】

 始めワイヤーで作るべくパソコンにデーターを入れて基本的な性質を調べて見ました(SoftはJA1WXB 松田氏作成のMMPC)。

 寸法は図のDATAを入れた所、給電部は約10Ωになりました。
 結果はSWRを合わせた後、追加した「L」を調べて逆算したら給電部は18Ωになっていました。

 エレメントの先端がかなり接近しているのでインピーダンスが少し高めになるようです。

 気になる利得はパソコンによると-0.89dBdとダイポールより幾分低い程度です「この程度なら使えるのでは!」と思いました。

 次にビームパターンですがちょうど小判形で、横からの信号も約-4dBとあまり減衰していません。
 これならアンテナを回す必要はありません、簡単ですから「使い易いアンテナ」といえます。

 因みに、立てに設置したらどうなるかも調べたらビームはダイポールの様な「8の字」形になりました。
 この時のゲインは幾分下がり-1.65dBdと出ました、このアンテナは水平に寝かして使う方がFBと思われます。

材 料 表
材 料詳 細数量
水道管VP-16
800mm(80cm)
1個
同軸ケーブル3C-2V1m
コネクターMP-31個
グラスロッド園芸用5mm1.6m
銅線1.2mm4m
マストクランプTV用(クロス金具)1個
コアバラン用 FT-50-43
(又はスリーブコア1個)
3個

 都市部でQRMが多い所でビームが必要なら、0.8dBの損失覚悟で立てにして使うと8の字ビームが使えます。
 たいしたロスでは無いので (測定器で測らないとわからない程度 )結構使そうです、お試し下さい。

【材料とその購入】

 メインのパイプは安価な水道管、VP-16を使います、これに園芸用のグラスファイバーロッド5mm (2m物で120円でした)を使います。

 銅線は1.2mm の物を使い、マストクランプ (クロス金具 )はTV材料売り場から調達しました。
 これらの材料は全てDIYのお店で手に入ると思います。

 それに同軸ケーブル、コネクター、バラン用のコア等でこちらはハムショツプです。

ワイヤー処理 エレメント処理

【加 工】

 構造的に簡単なので図や写真で作り方は理解出来ると思います。少し製作上のポイントを並べてみます。

 まず、水道管にグラスロッドを通す穴を開けます、始めは3mm 程度の穴を開け、水平度を見ながらヤスリで広げると良いと思います。

ワイヤーの先端

 それでも完全に二本のグラスロッドを水平に並べるのは難しいです。
 自信の無い方は接続用のパイプ(ジョイント=前ページの図)を使って合わせた方が楽です。

 水道管は塩化ビニール製ですから、普通の接着剤では付きません、ビニール専用の物を使って下さい。

 グラスロッドは上図に示すA,B,C の所に銅線を巻き付けて半田付けします。
 ここにワイヤー(銅線)を半田付しエレメントとします、セロテープ等を利用して銅線を仮固定すると作業が進みます。

マッチングの所 マッチングの写真

【マッチング】

 ここはLマッチ(ヘアピン・マッチともいう)で図の様に銅線を加工して作ります。

 これに同軸ケーブルにコア(FT-50-43*3)を通した「簡単コア式バラン」を作り給電します。

 細長いスリーブコア(ノイズ対策用の物)が手に入ればそれを使って下さい、目安は長さ25mm前後の物。ここは市販の1:1 バランを使ってもOKです。

調整

【調 整】

 SWR計を付けて共振点を探します、これはSWRカーブのデイップ点(下がる点)です。

 ここが50.4MHz になる様に先端を切りながら合わせます。

 すでに高い様でしたら横幅を広げて下さい、目安はSWRが[1.3] 以下に下がればOK。

SWR

 こだわる方は細かい調整をします。Lマッチの大きさを変更して合わせ、必要なら先端を更に切り合わせます。これでSWRは[1] まで下げることが出来ます。

 出来上がった物を測ったらSWR表の様になりバンド幅は予測ほど取れませんでした。

 作ったアンテナは調整後(18-j24)Ωとなり計算よりも少し高くなりました、これにマッチング回路を付けて50Ωにしています。

【運 用】

 SWRが下がったので試しを兼ねて山の上からオンエアして見ました。

ビーム

 100Km離れた局とQSO出来て飛びの方はダイポールアンテナと同様に使えそうです。
 ビームはほとんど利きませんので、アンテナは動かす必要がありません。

 GP系の局とは偏波の関係で信号は弱くなりバランも効果的に作動しているのがわかりました。
 相手に使用アンテナを聞いてスクエアローからホイップアンテナに切り替えると、偏波が合って信号はグーと上がって来ます。

 このアンテナを知ってる方は「なつかしい!」といって昔話をしてくれ話が弾みました。

 欠点として、アンテナ自身では無いのですが、製作上でエレメントの先端がグラスファイバーに接しているので雨が降った場合、電位が下がりSWRが悪化します。

 これを防ぐには先端を浮かせば良いのですが「別の方法を取りたい」と今後の問題としました。

 HB9CV 全盛の時代ですが予備のアンテナとして使えますのでぜひ作って下さい。
 Eスポでは問題無く使えますので自作派の方におすすめです。

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