予算3000/1500円
50/430MHz SLIM HENTENNA


正面の写真

 ヘンテナの構造は縦長のループになっており、マッチング用の給電部を動かして調整するのが特徴です。

 このアンテナはマッチングを取るのが容易で、しかも利得はダイポール比3dBもあって飛びの方もFBです。

 以前「ラジオの製作」に「ワイドヘンテナ」が出ていたので、ワイドがあるのなら「スリム」もあるはずと思い性質を調べる事にしました。

《スリムの特徴はワイドの逆》

比較図

 ワイドヘンテナの最大の特徴はバンド幅が広い事で、広帯域のアンテナが無調整で作れる事でしょうか。

 これに対しスリムヘンテナは「形が小さくなる」のでアンテナの取り扱いが簡単になり、作り易い点でしょう。
 欠点としては「バンド幅があまり取れない点」と「縦にその分伸びます」、でも50MHzではSSB用と限って使えば十分使えるので問題はありません。
 図はイメージ図でスリムヘンテナは縦の長さは他のヘンテナより伸びます、ワイドが一番短くなります。

《どの程度スリム化するのか》

 「ラジオの製作別冊、アンテナクラフト・マニアル」によると横幅を2倍にするとインピーダンス(抵抗分)が4倍になる事が分かります。

 スリムヘンテナにするには逆に横幅を半分にすれば[12.5Ω]になるだろうと、パソコンに相談したら横幅42cmで利得3.6dBdと利得もノーマルアンテナの3.1dBdより少し上がりました。


430MHz版

《試して見ました》

430の写真

 一応DATAが出て来たので実際に作って見る事にしました(動かして見ないと何ともいえませんので・・HI)。

 そこで、まず手軽に出来る430MHzで試して見る事にしました。

 さあ「SWRが下がり」このアンテナを使って「QSO出来るか」が問題です。結果を先にいうとFBな特性を持った物が確認出来ました。
 小型に作れるので430MHz帯を作るのも面白いと思います、ぜひ試して下さい。

《材 料》

寸法図

 手持ちの関係でエレメントは1.6mm の錫メッキ線を使いました、線が細いとしっかり作るのは難いので太めの物を使って下さい。

 マッチングは同軸ケーブルRG58/U(50Ω/3D-2Vでも良い)を使って作りました。
 コネクターはハンディ機に接続するのでBNCタイプを使いました。

SWR

《作り方と調整》

 まず錫メッキ線を折り曲げて寸法どおり作り、次に外わくを半田付けして形を作ります。
 そして、Qマッチ部分を付けBNCコネクターを付ければ出来上りです。
 Qマッチ部分は50MHzの項を見て下さい、長さは115mmです(そう正確で無くても作動する)。

 調整はSWR計を付け433MHzでSWRが[1]近くになるように給電点を動かして合わせます。
 調整の度に、半田ゴテを使うので面倒ですが図面の寸法で作れば僅かな調整で合うはずです。

 なを、線の太さが違うと多少マッチング位置が変わるかも知れません。これは共振点が少し変わる為です。

《オンエア》

垂直編波なので横にして使います、ちょっと感覚が違いますがヘンテナはこれが特徴です。

Qマッチの部分を持ってアンテナを動かすと信号が強く聞える点があるので、強い局はそのままコールするとQSO出来ます。

 私の所では玄関前から20Km離れた局と3Wハンディ機でQSO出来ました、移動局が強く聞えればたいていQSO出来ました、これは十分使えそうです。

 ハンディ機付属のホイップアンテナよりもこのアンテナの方が長い事もあって、比較にならないほど良く飛んでいます。


50MHz版

《6mでは》

寸法図

 50MHzは予想の寸法で作って見ると周波数が下がりぎみです。この時のSWRが[1.5] でその後いくら調整してもこれ以上改善出来ませんでした。
 そこで全体を伸ばしたり縮めたりして図の寸法になりました。結局横幅は予想よりかなり狭くなった所でSWRが下がりました。

 早速このアンテナを7mほど上げて、交信すると栃木県から1エリア以外に静岡県、富山県、滋賀県とグランドウエーブでQSO出来ました。
 ほぼ飛びもノーマルヘンテナと同等の感触が得られました。

《材料と作り方》

 長めのグラスファイバー製の釣竿を使い、先を切って太い所をブームとして使います、使う部分は最低3m必要です。

クリップ

 上下のエレメントは9mmのアルミパイプを使い、横と給電部は安価なACケーブルをさいて使いました。左右の線は先端に「目玉クリップ」を付けエレメント上を左右に移動出来るようにします。

 給電部はミノ虫クリップを先に付けここも調整の為に動かせるようにしておきます。

Qマッチ

 Qマッチは430MHzと同様1/4波長のものです、手持ちの関係でRG58/Uを使いましたが一般的な3D-2V でOKです、1mちょうどで2本パラレルで使います。
 これで50Ωから12.5Ωに変換してアンテナに接続します。

 ここは自転車(自動車)のチューブ (ひもで良い) を切ってQマッチ部分を縛り、更に竿に縛って使います。

 バランを入れた方が良いのですが略しました、念の為に電波の乗りをチエックしたらあまり乗っていませんでした、これはインピーダンスの高い所から離れている為と思われます。

 上下のエレメントは目玉クリップを使って止めます。

 上側は4mmのビス、ナットを使い写真の様にクロス式にして使います、釣り竿をクリップする方には布(ズボンの当て布等を利用する)をボンドで張っておくと傷が付きません。

 下側は銅線を半田付けして竿に巻き付け、その上にビニールテープで巻くとしっかり止められます(接着剤を使っても良い)。

マスト

《調 整》

 当然の事ですがワイヤーはピンーと張ってから調整を始めて下さい。

SWR

 50MHzは50.2MHz を中心にSSBは運用されています、ここから±50KHzがアクテイブウインドウですからここをポイントにSWRを下げることにします。

 ループアンテナですから近くに何かあっても調整出来ます、でも最終的には回りに何も無い所でSWR合わせをして下さい。

 SWRはかなり微妙でバンド幅が狭いので合わせ難いです、「ヘンテナ作り」初めての方はきついかも知れません。風でワイヤーが振られるとSWRも動きました。

全体

 マッチングポイントを上にずらすと共振周波数は高くなり、インピーダンスが上がります。
 共振点が大幅に異なっている場合、全体の寸法を大きくしたりして合わせる必要があります。

 ポイントとしては「SWRが1.5 」以下であれば十分使えますから、後は暇な時に[1]まで下げて下さい。

 なを横幅を広げると共振点周波数は下がり、インピーダンスも上がります。

《特徴を生かして》

 アンテナの横幅が狭いので全体として軽く作れます。

 その結果、設置するのも簡単で全体の高さも取れてFBです、おまけに打ち上げ角も下がり電波が飛ぶことになります。

 このアンテナを小高い所とか河原の土手などで使えば、効果的に作動すると思われます。

 スリムヘンテナを実用化したのは今回の試作がおそらく始めてかと思います、ステップアップする手間があるので今まで試されていませんでした。

 普通のヘンテナよりも幅が狭く、且つ利得アップが見込めるので移動運用にFBと思われます。どうぞ作って試して下さい。   73


 このアンテナは1995年秋に作りました、このアンテナで細長いアンテナの性質を知ることが出来ました、見ていただくだけでも参考になると思いここに入れました。
(2001/1-2009/5 JA1HWO)

材料表
材 料詳 細数量
[430MHz用]
錫メッキ線1.6mm1m
プラグBNC−P(3D用)1個
同軸ケーブル3D-2V0.5m
[50MHz用]
クリップみの虫クリップ(小)2個
クリップ目玉クリップ(小)3個
クリップ目玉クリップ(豆)4個
ビス4X6mmビス、ナット1組
ジヤックMR−B1個
銅線1.2mm1m
ACコード4m
アルミ管9mm1m
釣竿5m物1本
プリント基板少し
釣竿5m物1本
同軸ケーブル3D-2V2.5m

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