50MHz ML Antenna(超々小型)
予算 1,500円


【 初めに 】

本体の写真

[ 全体図 ]

 50MHzといえば波長は6m、アンテナは半波長ダイポールが3mでホイップアンテナでも1.5mあります。

 市販のホイップアンテナは短縮コイルが入った1mを割った物も売られてますが普通は大きいです、ですから50MHzのアンテナは大きい、というイメージがありました。

 小さな物では過去「スクエアロー」アンテナが流行しました。このアンテナは一辺が75X75cm のアンテナで比較的小型で水平偏波が出せるということで良く使われました。

 アパマンハム(アパート・マンションの略)には使い易いと思うのですが、現在では残念ながら市販されておりません。
 話し変わって、欧米では変な(あまり見掛けない)アンテナが売られています、その中で丸形のアンテナで形の小さな物がありました。

 すでに輸入されて一部の人は使っています、それの50MHz版を作って見た所FBに作動したので紹介します。

 形は何と直径42cmと小型で、前記の「スクエアロー・アンテナ」との面積比で約1/4とコンパクトです。半信半疑で移動局を(この時はこの局以外は何にも聞え無かった)室内(平屋)からアンテナを手で持ちながら一番良く聞こえる点に合わせ、10W でコールすると直ぐに応答がありました。

 [51-51] でQSOに成功でQSL交換も約束出来たのです、距離は約80Km「やったね!このMLアンテナで1stだ!」と喜んでいたら又移動局が聞えた!直ぐにコールしたが今度は再びCQが出て取ってもらえなかった、別のアンテナで呼んでビームを向けてもらいレポートをもらうと、かなり弱いとの事でした。

 それも当然室内運用なのだ、しかもアンテナは手持ちだし弱いのは当たり前それでも弱いながらも、このアンテナでQSOを続けた。
 その結果、これでもQSO出来たので「このアンテナは実戦でもなんとか使える」と、この時確信しました。
【 MLアンテナって 】
 このアンテナは電磁結合で写真の様に中央に給電部、外側に共振部を持つ構造の「磁界系のアンテナ」です。

 良く使われているダイポール等の電界系アンテナとは少し動作が違います。性質も変わっているのでぜひ製作され調べて下さい、新しい発見があると思います。

 エネルギーは小型ループ部分から発射し、受信の時は磁界エネルギーを集めるアンテナになります。
 外観が「まるがた」である所から「MLアンテナ(31KB)」としました、それと「マグネット・ループ」に引っ掛けたわけです。

 一部では、容から「スモール・ループアンテナ」とも呼ばれています。
 QSOの時、状況を説明するのが面倒ですので「丸い形のアンテナを使っています」と説明しています。

 製作当時は知られてなかったこのアンテナも、2001年の今日では動作説明の必要はなくなりました。
【 製 作[A]】

寸法図

 最大のポイントは「外側の共振部をいかに目的の周波数に共振させるか」です。
 今回製作した物は5D-2V の芯線をコンデンサーとして使う方法で、6ミリの銅パイプ(DIY調べ−1m 280円)を相手に使うことにしました。

 予備実験で、同軸ケーブルの芯線はコンデンサーとして9-10cm必要と見当を付け、寸法図の様になりました。
 パイプの長さ130cm とすると直径41cmぐらいになるはずだがスペースを取ったので直径は42cmです。
 近くの店では1mの銅パイプしか売ってなかったので、実際にはジョイントで30cm付け加えた。
 曲線部分は木片のへりでこすりながら少しづつ力を加えて曲げる。

 5D-2V 15cmを外皮、編線を取り去って芯線だけにした物をコンデンサーとして使います。
これの先端1cm を引き抜き、後部3cm の所に印しを予め付けて置きます。
 片方の銅パイプに線を引いた所まで入れ、3×5ミリのタップビスを外から見て10mmの所に付け外の銅パイプと中の銅線をシヨートさせる。

 残っている方も向き合った銅パイプに入れ、銅パイプのスペースを変化させると共振点が変わるという仕組みです。
ここは図や写真等を参考に加工して下さい。

 共振点はデイップメーターを使うと分かりますスペースが20ミリ以上になる様なら芯線を切って10-20ミリ 位いになるようにします。

 デイップメーターが無い場合SWR計を使って合わせますが少し面倒(共振点を見付けづらい)です、持ってない人は借りた方が製作は早く出来ると思います。

各部のポイント

【 製 作[B]】
 給電部分はコネクター(21KB)を使いました、これの取り付けは半田付けです。
 直接半田付けはむづかしいのでタップビスで仮止めして半田付けをします、この時コネクターは同軸ケーブルを付ける関係から下向きに取り付けます。

 給電コイルは1.6ミリ の錫メッキ線を使って作り初めは直径が11cm位いにし後で調整します。

 50MHzの運用は水平偏波で運用されているので、取り付けは横に寝せます。

 取り付け材料は塩ビの水道管(VP−20)を50cmと、TVの取り付け金具を使いました、いずれもDIYショップで購入出来ます。

マッチング部分

 銅パイプとの接続はやすりで切り込みを入れ細いひもで縛りました。
【 調 整 】

SWR

 共振点はデイップメーターで合わせてあるのでSWR計を付けて50.2MHz に共振点が来るように(SWR特性のデイップ点)スペースを変化させて周波数を正確に合わせます。
 これだけでは「SWRは1近くまで下がらない」と思います。

 次に給電部の調整が必要です。ここは給電コイルを少しづつ小さくしていくとSWRは下がって来ます。

 [1]近くまで下げると再び共振点が変り、調整が狂いますから再びスペースを合わせて周波数を合わせます。これを繰り返し実行します。
 SWRが下がったら、その点をマジック等で印しを付けておくと後でずれても直ぐに分かり便利です。

固定する

 結構この共振点は微妙で最終的には0.5ミリ単位で(もっと細かくしたいのだが!)動かさないと合いません。

 出来上がったら銅管が戻らない様に一部に穴を開けて、図の様に調整位置を固定します。
【 出来上がった 】
 利得はダイポールよりSが一つ以上弱い感じです、何せ直径42cmと超々小型アンテナ、利得が低いのは仕方ありません、車のハンドルより少し大きめで小さく何処にでも建てられます。

 水平偏波で無指向性アンテナですから回す必要は無いし、場所の無いアパマンハムには持って来いではないでしょうか。

移動で使用

[ 移動で使用 ]

 室外での実験ではSメーターが少しでも振れていれば10W でQSO出来るようです。  聞こえていてもSメーターが振れない場合はQSO出来ませんでした、QSOはこの辺が目安でしょう。

 共振点はかなり鋭くコンデンサーの近くに指を振れると聞こえていた物が消えてしまいます。
 送信時ではコンデンサーより10cmぐらい離れた点で少し発熱しています、これはQが高く共振部分に大きな電流が流れている為と思われます。

 連続送信では銅パイプが伸びるのかSWRがわづか変化します、SSBでの運用なら問題はありません。

 SWR特性表の様に運用周波数帯が狭いのが欠点です。逆にいえばかぶりを受けにくいともいえますがこれは負け惜しみです・・・。
 従って、バンドの広いFM用には向かないのが残念です、(固定周波数ならOKですが!)運用周波数に注意してして下さい 。

 アンテナの近くにTVのケーブルがあると電磁結合の為かTVIを起こしました。TVケーブルは近付けない方がFBです。

 このアンテナは建てる場所を選びませんので何処でも建てられます、指向性は少し感じられ、給電部が幾分バックとして感じられます、運用はコンデンサーの方をフロントとして使うとFBです、気にしなければわからない程度なので別に意識しなくても良いと思います。
コーヒー・ブレイク

 小型なアンテナを紹介していますが「アンテナは大きいアンテナを高く設置する」のが基本です。
 でも、なかなか事情があって建てられないのが現実ではないでしょうか、小型なアンテナで「よりましなアンテナはないのか!」色々と作って探しています。
 紹介したこのアンテナがあなたのハムライフにお役に立てば幸いです。

 2001/1/18 JA1HWO 菊地正之

使った感想

 このアンテナ(ML Antenna)を使って、やはり小さいので飛びは「イマイチ」が実感です。場所があれぱもっと大きなアンテナの方がFBと思います。

 雑誌などで「スモールループ・アンテナは小形で良く飛ぶ!」等をたまに見かけますが本当でしょうか!
 6m程度ならもっと大きなアンテナでも、スペースを取りませんのでこのアンテナをメインにした実戦アンテナとして使うのはどうでしょうか(疑問!)。
 他にも何種類か(37KB)作ってみました、小型なので予備のアンテナとして作ると何かと便利でしょう。
  FB DX 73

96/1/14     製作
97/6/11 V 2.0 Himawariに移植
2001/1/18 V3.0 HTML変換
2009/5/29 Last modified

[6m ML 材料表]
項目資料数量
銅管6ミリ 1m2本
銅管6ミリジョイント1個
コネクターMR1個
マストクランプ25mm用(TV)1個
タップビス3X5mm2個
水道管VP−2050mm
錫メッキ線1.6mm50cm
同軸ケーブル5D-2V15cm
紐又は糸少し-

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