予算 500円 50 MHz用
LC マッチ・ダイポール


全体の写真

 ダイポールアンテナのインピーダンスは73Ω程になりますから、一般的に使われている50Ωの同軸ケーブルを使うとSWRは1. 5近くになりミスマッチが生じます。

 普通ミスマッチを防ぐ為に両脇を下げた「逆V.inverted V」や曲げた「ベント.bent」型にして使います、こうすると本来のダイポールアンテナより幾分利得は下がりますがSWRは50Ω近くになり改善されます。

 このようにアンテナのエレメントを動かして合わせる方法以外にもマッチングを合わせる方法があります。

A.インピーダンスを73Ωから50ΩにLCを使って変換する方法とかコアを使って巻数比を使いマッチングを合わせる方法等があります。

B.変わった物として、リアクタンスを生じさせ73Ωを一度113Ω に持ち上げこれを良く使われているQマッチで50Ωに戻そう、という物もあります。

 この方法は今までほとんど知られておりませんでした、113Ω は1/4波長Qのマッチで選られる方法で75Ωの同軸ケーブルで簡単に作れます。
 これはループアンテナで良く使われていますのでご存知の通りです。

 今回ほとんど例の無い、リアクタンスを利用する方法にトライして見ました。

動作

 これも次の「2つの方法」があります。

A.アンテナを「少し短くして誘導性リアクタンスを発生させて利用する」。
B.逆に「少し長くして容量性のリアクタンスを利用する」方法。今回はこの両方を実験して見ました、周波数は50MHz を利用します。

》 動作と設計 《

全体の寸法

 アンテナは直列共振回路として等価回路で現せます、共振するとCとLはキャンセルされ0になりR(抵抗)のみとなります(1) 。
 今アンテナを短くすると容量性となりC成分が発生します(2) 。
 次に、直列を並列に変換します(3) 、この時Rp(並列抵抗)はRs(直列抵抗)より大きくなります。
 このRpを113 Ωに出来れば直接Qマッチに接続することが出来ます、残ったXpはコイルを付けて共振させてやれば消えます(4) 。

 アンテナを113Ω にする方法はアンテナの長さを調整してRsとXsの組み合わせを探すのです。

》 RsとXsの組み合わせ方法 《

動作

 まず、およそのRsとXsの組み合わせリストを作りました、このDataを見ながらパソコンを使ってアンテナソフトを動かしエレメントの長さを変化させてリスト上にあるDataに合わせます。

 これでRs,Xsが求まります、結果は太さ1.2mmの銅線の場合、長さ2754mmでこの時のRs、Xsは59-j56Ωと出て来ました。
 この時のRpが113 Ω、Xpが-j116 になり、Lは50.5MHzで0.37μHになります。

 実際にこのLを同じ銅線で作ると12mmの直径で8回巻きになりました、これはデイップメーターで確認します。

 次にアンテナを長くする方法です、こちらは前とほとんど同じです。
 ただ、リアクタンスの符号が逆になるだけです。つまりコンデンサーがコイルに変わります、こちらも同様にパソコンで求めました。

 長さ2990mm、太さ1.2mm 銅線の場合、RsとXsが75 j52Ωと出て来ました、この時のRpが113Ω、Xpがj160 になり、この時Cは20PF(50.5MHz)になります。

 この辺は計算式をご覧下さい、これで一応Dataが出そろいました。

材料表
材 料詳 細数量
銅線1.2mm4m
基板ガラス3X2cm1枚
コネクターMP-31個
同軸ケーブル3C-2V4m
同軸ケーブル5D-2V(Qマッチ)2m
ビス・ナット3mm2組
圧着端子3mm用6個

》 材料集めとアンテナの作り方 《

 材料は表の通り変わった物はありませんのでお持ちの材料を生かして下さい。

 銅線は手頃な1.2mm の銅線を使うことにしました中央はガラス基板を少し使いビスを通す3mm の穴を開けます。

 Qマッチは毎度おなじみの物です、以前デルタループで使った物が余っていたのでこれを利用しました、3C-2Vで製作して下さい。

コイル

 これにおなじみのQマッチと銅線を1.6cm長にした物をビス止めします。

 Cマッチ用として20cmの同軸ケーブルを付けてコンデンサーの代用として準備をします、Lマッチは上図の様にコイルを作りました。

 エレメントの先端は寸法を合わせ、取りあえず折り返してプラスチックの紐を付けておきます。
 これで準備は出来ました。


》 Cマッチの調整 《
 アンテナのエレメントは、長さの関係でこのCマッチから始めました。
 4m高で測定すると始めSWR1.2、共振点49.1MHzと希望の周波数よりも約1MHzも低くなりました。
 バンド巾も広いのでこれは中心周波数を51MHz にしても良いと思い、切り込んで結局2.88m になりました。
 Cは同軸ケーブルで作りましたのでこれを1cm単位でSWR計を見ながら切っていくと[1] まで下がってくれます。
 調整後の長さは15.5cmになりました。
》 Lマッチの調整 《
 予めデイップメーターで0.37μH コイルを作っておき、給電部に半田付けしておきます。
 これでSWRを測定すると49.6MHとやはり低めになりました。
 調整後全長2.61m になりましたがSWRはまだ[1.2] と下がりきっておりません 。
 こちらは巻数の変更は大変なのでコイルを伸ばしたり縮めてSWRを合わせます、これで[1] までストーンと下がりました。

SWR

》 結果は 《

コイル

 いずれもSWRのカバー範囲は広くFBで、どちらの方法でもSWRは下がりました。

 計算で求めた数字より変わったのはパソコンのDataが自由空間での物です、所が実際は地上の影響を受けるのでアンテナは幾分短くする必要があります、少し短めなのは高さが低いのでもっと高くして調整すればよりDataに近づくはずです。

 なを、短くすると利得は下がり長くすると上がる傾向がありますが、パソコンによるとその差は0.1dB 以下で「どちらの方法を取っても性能はまったく同じと考えて良い」と思います。

 なを、ダイポールは地上からの高さによってインピーダンスは変化しますが、多少変わっても調整で合わせられます。

 ここで使ったアンテナソフトは[YSIM FV1.0]です。


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