6m用 2EL キュビカル・クワッド アンテナ
予算 6000円

製作が少し面倒だけれど、飛ぶ!

全体の写真

 天空高くそびえるタワーに大型アンテナを付けて運用するなんて、現実には夢のだなーと考えている人。
 平屋にルーフタワーを上げただけのサンデーハムも多いのでは何いでしょうか。

 私の所も実はその中の一人でルーフタワーを愛用しています、もう一つタワーがありますが登るのが大変なので(高所恐怖症)けっこうルーフタワーを使っています。

 問題はアンテナが低いと飛ばないことです。同じアンテナを建てても高さが低いと打ち上げ角が高くなり遠くの信号が入らず、又飛びません。

 そこで「低い地上高で飛ぶアンテナは無いのか」と何時も考えますが「やはりループアンテナしか無い!」と思います。
 以前デルタループを作った時結構飛びましたので今回は正方形のループ「キュビカル・クワッド」を試して見ました。

 キュビカルクワッド・アンテナの歴史は古く先輩の方々が色々と研究しています、飛びの方は皆さん折り紙付きで文句ありません、ただ調整が難しいといわれています。

 最近はパソコンでシミュレーション出来るので念の為吟味しておきました。それによるとクワッドの方がデルタループよりも利得的には多少有利という結果になりました。

パソコンでの下調べは次の様な結果です。
項 目数 値
周波数50.5MHz
インピーダンス(54.8+0.5j)Ω
利得5.8dBd
F/B比が11.3dB
半値角70.6°

どうなる設計は!

 クワッドといっても基本的な2エレメントにしました、構造も簡単で作り易く調整も簡単です。

 2ELのアンテナはインピーダンスが50-70Ωになるので今回のアンテナは性能を多少犠牲にして、アンテナを接続出来る50Ωに調整することにしました。

 これで同軸ケーブルに直接接続出来、これがこのアンテナの特徴です。

寸法図

 パソコンで計算しても実際に製作すると誤差があって修正が必要です、特にRが低い場合はより誤差が大きくなりますが今回は50Ωとあまり低くないので誤差は少ないだろうと予測出来ます。

 市販品としてはこのような設計はしないと思います、利得を少し低下させF/B比を上げる物が一般的です。
 当地ではローカル局も少なくサイドやバックからの信号もほとんど無く、利得重点で設計をしました。「この様な地理的条件の方も多いのでは」と思います。

 寸法は図の通りです。ただ製作途中で気が付いたのは取り付けの関係で中央の位置がずれることです、1cm程度の誤差は問題無いのですがクロス部分で2cmずれたので製作中スプレッダー部分(エレメントを支える所)に歪みが生じました。

歪み図

 当初これは予想してなかったのですが途中の組み立で気が付きました。寸法図は修正後の物です。
 実際に作ってみると思わぬ問題が出てきますね。

材料の吟味

 ブームは全長80cm程度なのでアルミパイプを使います、太さは25mmで十分でしょう。

 スプレッダーは初め全て水道管を使う予定でした、でも重く曲がり易いので結局アルミパイプを使い先端だけを水道管を使って絶縁しています。

 全てをグラスファイバーの釣り竿としても良かったのですがコストも高くなるので、安いアルミパイプと水道管をコンビで使うことにしました。

スプレッダー寸法

 ここで使うアルミパイプは水道管に合わせて13mmとした、止め(クロス)金具はおなじみのTV用です、ここは力が加わるので一回り太い16mmのパイプを使って13mmに被せて対応させます。

 エレメントは1.2mmの銅線です、固定用ならもう少し太い1.4mmの物を使って下さい。

 給電部は50Ωなので同軸ケーブルに直接接続する方法です、ここはアクリル棒に接続して図の様に接続します。

 バランは単にEMI用(雑音防止)コアを入れるだけと簡易式にしました、6mではこの程度でも十分作動します、不安の方は2個にするか市販の物を使って下さい。

加工図

製作のポイント

 スプレッダーはアルミパイプと水道管の組み合わせです。水道管VP-13は穴が13mmですから13mmのアルミパイプが入るはずです、でも入る物と入らない物がありますので注意です。

 同じメーカーでも製造過程で誤差が出るのでしょうか、お店で2m物を2本購入して来たのですが片方は入りませんでした。

給電部

 手に入れた物が差し込めない場合、アルミパイプと水道管の両方をガスコンロ等で加熱し、差し込むと塩化ビニールの水道管が軟らかくなって差し込めます。この時火傷をしないように必ず手袋を使いましょう。

 水道管が焦げだしたら加熱オーバーです、その手前でアルミパイプに差し込んで下さい、なを冷却の時水道管がまだ軟らかくなっているので曲がって固まる恐れもありますから冷えるまで注意して下さい。

 給電部はアクリルの棒を使いましたが水道管を切っても使えます、ここは単なる絶縁材として使っているだけです。

 エレメントはクロス状にスプレッダーを組んで線を付けてます、寸法の誤差は1cm程度ならOKです。

クロス部分

 調整中はタップビスに引っ掛ける程度でも良いと思いますが、これって組み立て中に結構外れます。

 仮組み立ては全体が1.6m角程度ですから部屋の中でも出来ます、予め組み立てを試しておくと作業が早く済むのでおすすめです。

 組み立ては写真や図を参考に製作して下さい。

コーナー

調整する

 調整にはSWR計が必要です。また回りに何も無い所がベストですが八木系ではないので10m程度何も無ければ調整出来ます。

 方法は「共振周波数を50.5MHzに合わせ、SWRを1.5以下にする」のが目標です。

 まずSWR計で共振周波数がどの辺にあるかを調べラジエター[Ra]を調整する。もし、周波数が低い場合は全体を短くして周波数を上げてやリます。

 次にSWRが高い場合リフレクター[Re]のスペースを調整してみます。この2つの調整でSWRはかなり下がると思います、SWRが1.3以下に下がれば合格としましょう。

 2ELの場合、バンド幅も広いので組み立てミスが無ければSWRの確認程度で使い物になると思います(SWRも3以下なら使える)。

SWR

 作った物は初め共振点が50.07MHzSWRは1.3と少し周波数が低かった、そこでRaを2cm短くしスペースを70cmから60cmとした、これでもSWRは完全に下がらないがこの辺で妥協する。

 これは多分Reが少し大きい為めと思われます、Raを小さくしたので本当はReも同様に詰めないと予定の性能からずれるのです。

 でも「FB比が上がった反面利得は少し下がる」のでしょうが、まあ使用する分にはあまり変わらないのでこれで良しとしました。

 調整時の地上高は4mで調整した時と6mでは、DATAの差が無かったのでこの程度の高さでも調整は可能です、屋根から4m程度上げれば十分使えるということでしょう。

 過去クワッドアンテナの調整は時間の掛かるアンテナでした、でも寸法を合わせれば少しの調整でマッチングが取れます、ただ使用の線材を変更すると共振周波数が変わるので1.2mmの線を使うことや、全体の寸法を守ればそう手間取らないと思います。

 ただ、SWRを完全に下げるには手間が掛かります、SWRも1.5以下になれば飛びはほとんど変わりませんので適当にしましょう。

材 料 表
項 目詳細
アルミパイプ13mm 150cm2本
アルミパイプ13mm 160cm2本
アルミパイプ13mm 12cm4本
アルミパイプ25mm 80cm1本
水道管VP-13 40cm8本
クロス金具TV用4個
マストクランプクロス金具でも可1個
銅線1.2mm14m
アクリル棒10x10x60mm1個
コアノイズ防止用1個
タップビス3mm16個
ビス3mm4個
圧着端子3mm用3個
同軸ケーブル5D-2V1m
コネクターMB-R1個

完成と試し

 調整が終わったら各部に使っているネジ類を増し締めします。

 各エレメントのコーナーは風で振られるのでしっかり取り付けて下さい、ずれないように別の線を巻付けたりしてしっかりと止めます、接続部分は半田付けして完全に固定します。

 金属部分、特に鉄材(ビスやナット等)を使っている場合はスプレー塗料を掛けておくと長持ちします。

 水道管は少し大き目にしてあるので調整が終わり完成したら不要な部分を切り取っても良いと思います。

 製作のポイントとして、軽く製作したので移動して試して見ました。
組み立て直後の写真[28KB]

 移動局が聞こえたのでアンテナを回して信号の入り方を試すと、59の信号がバックでかなり弱くなりエコーがかかる感じになりました、これはFB比が予想以上に上がっている証拠です。

 アンテナを都合で10m前後しか上げられない人の戦力UPとしておすすめです。4EL程度の八木系アンテナより「利得は低いのですが、より飛んでくれる」はずです。 73

99/5変換 2009/5 



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