50MHz 50Ωダイポール・アンテナ


全体写真

【初めに】

 簡単なアンテナといえば誰でも知っているのが「ダイポールアンテナ」ですね。
 でも、このアンテナはインピーダンスが73Ω程で50Ωの同軸ケーブルに接続するとSWRが完全には下がりません。

 ダイポールアンテナは簡単に作れるのでSWRが多少悪くても飛びの方は変わりませんので良く使われています

【アンテナを50Ωにするには】

 アンテナを希望のインピーダンスにするには多少の工夫が必要です、方法は色々ありますがここでは次のような方法を取りました。

 アンテナは普通73Ω前後ですがアンテナを短くして行くとR(抵抗)はそれにつれて下がります。

 もし、アンテナを短くしてRが50Ωになる点に合わせられれば「50Ωの同軸ケーブルに直接接続することが出来るのでは何いのか」という発想です。

 ただ問題があってアンテナを短くすると、今度は共振周波数が上がってしまうのです。

 これに付いては周波数の上昇分をコイルを入れて補正する方法があるのでこれで共振周波数を合わせます。すでにRは50ΩなのでSWRは[1]まで下げられるという仕組みです。

【具体化するには】

 パソコンでDATAを予め調べて置きます。いつものMMPC(JA1WXB 松田氏作)にDATAを入れ50.5MHzでR=50Ωになるアンテナの大きさを求めると2540mmとなり、この時アンテナが短くなる分のリアクタンスが97jと出ました。

 この97jを50MHzに換算すると0.31μHのコイルを入れれば良いことになります。
97/(50x3.14x2)≒0.31(μH)
実際には半分に別け0.15μHを2個作りアンテナに入れます。

バラン

【ダイポールにはバランが必要】

 ダイポールアンテナは平衡していますが、同軸ケーブルは不平衡なので間にバランが必要です。もし入れないで使用するとここでロスが生じる為です。

 ここは図の様な簡単ソーターバランを使うことにしました。バランを作るといっても単にフェライトビーズに細い同軸ケーブルを通しただけです。

 良く使われるFB-801でカタログを見ると50MHzに対し85Ωのインピーダンスを持っているのでこれを3個使って約250Ωにして使います。

 アンテナが外れる等SWRが極端に上がらない限り負荷は掛からないので小形の物が使えます、これでもSSBで50W程度は十分使えます(周波数特性があるので他の周波数ではそのままでは利用出来ません)。

【部品に付いて】

寸法図

 エレメントはアルミパイプ10mmと13mmを使います。絶縁材として水道管13mmの物を使います、マストとの接続にはTV用として売られている「クロス金具」を使いました。

 アルミパイプの寸法は外径で表しますが水道管は内径で表します。ですから同じ13mmでも差し込めます。
 水道管の方は13mmでもパイプは少し小さめに作られているのでアルミパイプ13mmでは入りにくい時もあります。

 コイルは1mmのエナメル線を使います、これらはDIY用品のホームセンターで手に入ると思います。

 他にバラン用として0.8Dの同軸ケーブル、フェライトビーズ、コネクター、ケース等が必要でパーツ店や通信販売で手にして下さい。

【製作のポイント】

コイルの作り方

 エレメントのアルミパイプは寸法通り切り穴を開けます、水道管も同様に加工をしておきます。

給電部の取り付け

 アルミパイプ13mmは少し太目の物が多いので入らない(差し込めない)場合は先端を金鋸で割り入れて差し込みます
 ビス止めをするのでこれで使うには十分の強度を持っています。

 ハムショップで扱っている12,10mmパイプを使うとスペースもなくFBに出来ます、ただホームセンターの物より少し割高になる様です。

 コイル作りは図を見ながら製作して下さい、太さ6mmのドライバーを使い1mmの銅線(エナメル線等)を6回密着に巻きます、巻き数は正確に巻いて下さい。

エレメント

 バランはビーズ(FB-801)に差し込んだだけ、各部品はラグ板を利用して取り付けます。
 この時コイルの向きはお互い直角にして下さい。

 もし同軸ケーブルが手に入らない場合は0.3mmの銅線2本をよってその代わりに使います、間隔も短いのでこれでも十分です

【調 整】

 SWR合わせですが、出来れば回りに何もない空き地(公園等)を利用して調整します。

 高さ5m程度上げて最低のSWRが1.1あたりまで下がればOKです、もし周波数が低い場合は全体の寸法を短くして共振周波数を50.5-51MHzに合わせます。

SWR

 バンド幅も広いのでおよその調整で十分です、設置の高さを変更すると少し共振周波数は変わります(地面の影響を受け易い)。

 製作した物は周波数が少し低かったので全体を少し短くしました(周波数の変化量は1MHz当たり60mmです/片側30mmづつ)。

 最終的に全体の長さは2470mmに成りました、これはバランまでの引き込み線がエレメントとして作動している為と思われます。

金具

【出来上がり】

 アンテナをHOMEに上げる場合、パイプをビス1本で止めましたがもう1本づつ付けてしっかり止めて下さい。移動では組み立ての作業が増えるので1本でも良いでしょう。

 利得もパソコンによるとノーマル(普通の)ダイポールに比べ-0.1dBとわずかなのでその差は無いと思って良いでしょう。

 軽いアンテナなので高く上げれば家で使っても十分楽しめると思います、移動にHOMEにぜひ作って利用して下さい。 73


材料表
材 料詳 細数量
アンテナ関係
アルミパイプ13mm 300mm2本
アルミパイプ10mm 1000mm2本
水道管VP-13 200mm1本
クロス金具TV用1個
ビニール線耐熱又はテフロン0.3m
タップビス3mm4個
バラン関係
プラスチックケース50x75x30mm1個
コネクターMR1個
ビーズFB-801-433個
ビス ナット3x10mm4組
圧着端子3mm3個
ラグ板5P1個
同軸ケーブル 0.8D-QEV(2V)10cm
エナメル線1mm PEW or UEW50cm
ビニール線ACコード10cm
針金ビニール被服50cm

【もう一つの動作】

 このアンテナはもう一つの顔を持っています、コイルが入っているので動作はノーマルダイポールと異なり高調波アンテナとしては作動し難いのです。

 コイルが高い周波数に対し抵抗を示すからで2倍波に対し94Ω、3倍波は140Ωと高くなるに連れ増加します。

 高調波が出難いこのアンテナはTVI等のインターフェアに対し効果がありますのでお試し下さい、でも基本波でインターフェアが起きている場合は効果がありません・・・!

1998/3 & 2001/2/7 2009/6 made by ja1hwo


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