予算 3000円
18MHz-29MHz用 MLアンテナの製作


全体の写真

【 こんな感じ! 】

 ここ数年前からLOOPアンテナを小形にしたアンテナが持てはやされて来ました。私も50MHzを始め1200MHzまで色々作ってノウハウを得ました、でも雑誌で皆さん書かれているような成果は得られませんでした。

 人気だけが一人歩きしている感じがします。単純に"飛びがFB!"とは思えません。

 他の人が、どのように使っているのかを詳しく調べると「FBだ!」といっている方は皆さんアパマンハムで一般の方はほとんどおりません

 使用条件をある程度限定しないとこのアンテナは成果が出ないように思います。
 従って、このアンテナから成果を引き出すには次のような条件を容認して使う必要があります。

A.ある程度地上高の取れる場所にアンテナを設置出来る方(平屋の窓から出した程度では飛びは期待出来ない)。
B.「バンド幅が取れない」のでこまめにチューニングしなければ成らず、それを面倒と思わない方。
C.あまり飛びが良くないのでパワーを入れられる人(50W以上)かCWで運用する。
D.Qが高いので共振周波数から少し離れると信号は下がる。
E.Qが高いので高圧が発生し、部品もそれに対応させる必用がある(家族の感電に注意)。
F.50W以上のパワーを入れると大電流が流れ、強力な磁界が発生する(危険)。
G.磁界エネルギーが強いので周波数によってはTVI等を起し易い。ケーブルから直接信号を拾うので注意する。

電気回路

【 性質を知れば使える 】

 アンテナの特徴を知って利点を利用すれば使い道はあります。欠点を減らすようにすればこのアンテナも結構使えるでしよう。

 Eスポのような信号が強い場合、結構実用になります。
HFのハイバンドではループ効率が上がった所で使える

 簡単で小形ですから非常用としても使えFBです。
あまり運用しない周波数をたまにのぞくのに最適。

 家に大きなアンテナが張れない方には出番でしよう、以前からある「短縮ホイップアンテナ」の他に、もう一つの選択の機会が得られる点はFBです。
小型でお手軽アンテナ

 GP系のアンテナは接地をどう取るのか迷う所です、これだけで使えるのは注目すべき点でしょう。
アースから開放される

(このボタンで別画面に図を表示します/20KB)

【 ループアンテナの設計 】

 スモールループ・アンテナは1波長の1/10以下ですから10mバンドとすれば波長10mだから直径1m以下とします。材料の関係から1mのアルミ板を2本使ってこれを丸めて使います。

バリコン

 これで直径64cmになり少し予定より小形に出来ました。

 2mのループで10W出力とすると発生RF電圧は計算で 1.2KV(50W 2.7KV/100Wで3.8KV)となり、これ以上の耐圧のエアーバリコンが必用です。それにインダクタンスは1.9μHとなるので共振容量は21MHzで25PF、28MHzで12PFが必用です(実際はループの材料で変わるので多小修正が必要)。

 使ったバリコンは以前FM受信用バリコンとして購入した物を並列で使うことにしました、約40PFのバリコンで17MHz-29.5MHzまで(共振した)使えました。

 耐圧は不明ですが材質にタイトを使っているので500V程度あると期待しています。市販のタイトエアバリコンも500V程度から手に入ります。

 先輩の使用例を見ますと500Vの物を使うと10Wのパワーは使え20Wを超えるとスパークするそうです。
 また、3000Vの耐圧バリコンではSSB100Wで使えるがCWで使うと火花が出ると聞いています。

 今回の設計はMFJ社の「Hi-Q Loop 1780」と同じ感じです。ただ周波数がバリコンの関係で18MHzからとなっています。

マッチング部分

 マッチング部分はLマッチで6cm幅で給電しています。全長2mリングの場合これをコイルと考えると200/6で33倍の電圧が加わることになります。10W入力だと約22V、ピークでは33V加わるからこの33倍約1000Vとなりその耐圧のバリコンが必要になります。

 計算ではかなりの耐圧が必用ですが使って見ると500V耐圧で10Wパワーは使えそうです。これは絶縁材料として塩ビパイプとバリコンが並列に加わるので電圧が下がってくるのと、バリコン自身の耐圧に余裕があるためと思われます。

 更にパワーを入れる方は耐圧に注意して使って下さい。一度火花を出したバリコンはパワーを下げても、通り道が出来るのか火花が出やすくなります。

材 料 表
項 目説 明数量
アルミ平板10*2*1000mm3本
水道管VP-131m
水道管VP-200.2m
T形継ぎ手VP-13用2個
タップビス3*12mm13個
ケース7*7*6cm1個
バリコン500V(10W用)1個
取り付けビス3*10mm2個
配線用銅線*30cm
同軸ケーブル5D-2V1m
コネクターMP-51個
コアスリーブ5D用2個

【 材料選びと製作 】

 ホームセンターでは1mのアルミ管や棒、平板等が売られているので加工のし易いアルミ平板を2本使って作ることにしました。

 止めるのは水道管13mm(VP-13)を使い、本体の支持棒としても兼ねています。この辺は図や写真で確認して下さい、構造的には簡単です。

A.直径が64cmなのでこれに合うように水道管58cmに切りT型接続管を前後に専用接着剤で付け、両脇は図のように中に補強用として水道管を入れています。この時中に一回り太い水道管を入れていますがマストに固定する時太い方が有利です。

 ループの仕上がり精度は調整出来るので64cm前後でOKです。止めビスはタップビスの3.5*12mmを使いました。

 アルミ平板に穴を開けてT字になった部分へ取り付けます、反対側も同じ加工します。

B.次に、エアバリコンを取り付けるプラスチックの箱をタップビスで取り付け、バリコンを付ます。そして銅線でアルミ平板に付けます、この辺は図を参考に製作して下さい。

給電部

C.給電部は同軸ケーブル5D-2Vにスリーブコアを付け簡易バランとして取り付けます。写真は1個になっていますが2個使うか市販の1:1のバランを使って下さい。

D.マッチング部分は図のようにアルミ平板を[コ]の字形に加工して付けます。穴の位置は調整用として使い、だいたい図のような寸法でSWRは下がると思います。

E.バリコンのつまみは手が7cmぐらい接近すると周波数が動きSWRが変化しました、この為ボールペンの軸を使ってかなり離れてチューニングしています。

 これで構造的には出来上がりました。

【 調整する 】

各SWR値

 マッチングの調整をする前にアンテナの性質を再度考えると「このアンテナはQが高いのでバンド幅が取れない」点がポイントです。

 つまりSWRのカバー範囲が狭く、バリコンはゆっくり回さないと目的の周波数を通り過ぎてしまうので注意します。

 まず「周波数が合うか」ですが、送信機を作動させ「24.95MHzでSWR計が下がるか」ゆっくりバリコンの容量を減らして行きます。

 寸法図の様に組み立てれば「SWRの下がる点はすぐ見つかる」と思います。下がらないの時は寸法ミスが無いか?結線ミスが無いか?をチエックします。

 次に、29.2MHzでSWRが下がるかを調べます、24.95MHzで下がればバリコンの回転のみで下がるはずです、順次21MHz,18MHzを確認します。

 SWRが[1.2]以下になればOKとします、SWRが下がらない場合はマッチング板の取り付け位置を少し変更して下さい。

調整する

 このマッチング方法はかなりFBで各バンド調整後SWR1.1程度まで下がっています。調整としては21MHzか24.9MHzでSWRが[1.0]近くまで追い込めば他の周波数も合うはずです。

 このように各バンドSWRが下がるのはここで紹介した方法だからで、ここまでSWRを下げるのに色々試して失敗を繰り返しています、その中で一番良い方法を見つけました。

 なを、家の中で調整は出来ますが(完全では無い)外での再調整が必要です、何も無いところではQが上がる為かRが下がりマッチングの位置はかなり変わりました

 家の中ではRが高くマッチングループは大き目ですが、外では「こんなにずれるの!」というぐらいずれました、使う所で再調整します。

 なを各SWR表は土手の上高さ2mに設置してSWRを測りました。高さ6mにするとバンド幅が約5%程広がりSメーターも気持ち多めに振れ、やはりアンテナは高く上げて使う方がFBです。

【 完成して 】

 このループの特徴はダイポールの感覚からすると90度ビームの方向がずれます(これはアンテナをたてにした場合)。地面に水平にすると水平偏波になり無指向性になります。

 水平の場合、上下方向に電波が出にくいので(感度がドウナツ状になる)この方向から来るノイズを約-10dB減らすことが出来ます。

 マッチングはSWR計で合わせますが、慣れて来ると受信しながらバリコンを回すと信号が強くなるのでわかります。

放射効率

 他のアンテナで出ている局を探しループアンテナに交換してバリコンを回しFBに受信出来る点に合わせると良いでしょう(実際は弱く聞こえるので通常はリグで探せます)。

 但し、合わせたつもりでもSWRがずれていることが多く送信する時は確認します。

 各バンド共、周波数変更の度にチューニングが必要です。これが結構面倒です。

 それと、更にC(バリコンの容量)を増加させれば14MHzや7MHzでも共振します、共振すれば電波は出ますがループに対し周波数が下がると図のように放射効率は急速に低下します。

【 運用する 】

MFJ社の「Hi-Q Loop 1780」との比較
項 目MFJ-1780製作した物
全 長2m2m
価格約 230$
(日本では高い)
約 3000円
周波数14-30MHz17-29.5MHz
パワー150W10W
同調モーター式手動
マッチングループワイヤーLマッチ(ヘアピン)

 飛びの方ですが、設置の場所にもよりますがアンテナが小さいのでガンガン飛ぶわけではありません「このアンテナで飛んだ」と楽しめば良いのではと思います。

 それでも29MHzの移動局やEスポの局とは簡単に交信出来ます。DX局もSメーターが振れて入感すれは交信の可能性大です。
 ノイズは入り難いようで意外と静かです。

 調整中、21MHzで沖縄の局が出ていたのでコールして10Wで交信しました。この時の信号はピーク56*56でした、強い局はSメーター9まで振りますのでアパマンハムで地上高が稼げる人は使えると思います。

 各バンド一通り交信して見ましたがQRMが無ければ取ってくれます、ダイポールに比べるとやはり信号は弱い感じです。
 使えるパワーは使用バリコンで決定します、10W以上で使いたい人は耐圧のあるバリコンを使って下さい。

 それでは、サイクル23でますますにFBになるHFハイバンドを楽しみましょう。 88 & 73

99/5変換  



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