☆ 予算 7000円
21MHz スーパーナロースペース 2EL YAGI

全体の写真

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 2ELの八木アンテナは現在あまり使われておりません。
 このアンテナを作ろうと思ったのは、パソコンソフトで「小形に作る場合HB9CVでもYAGIでも利得はあまり変わらない」と出たからです。

 私自身HB9CVとの付き合いは古く、15m,10m,6mと色々と持っています。
 「もし、HB9CVのエレメントスペースを狭くして行ったら利得はどうなるのだろう!」
 という素朴な疑問からこのアンテナ作りは始まりました。

 結果は後記のようにエレメント間隔1mと従来では考えられない程の短かさ(スーパーナロースペース)にしても実用に成る事が解りました。

利得

 これはアンテナを小形に作れてスペースが不要で、特にHFローバンダーにアイデアを提供する物としての意義があるのではと思います。

 6や8エリアの局が国内用に固定ビームとしてつかうのであればこのアンテナを使えばスペースも少なくFBでしょう。

HB9CVから八木アンテナへ

 普通HB9CVのエレメントスペースは1/8波長(135°)とします、このスペースを変化させると利得に影響します、これを実験で調べるのは大変ですが、最近はパソコンで予め調べる事が出来ます。

21MHz 2EL Yagi Antenna  95cm                 

21.23,2

2,   0,-3.36,0,   0,3.36,0,.006
2,-.95,-3.54,0,-.95,3.54,0,.006

1
1,1,0
----------------------------------------------
MMPC用DATA 21_2elyagi.antでSAVEして下さい

 何度も計算して調べて見ると図の様にエレメントのスペースをどんどん狭くして行くと1/16波長辺りから急に利得が低下する事が解りました。

 それにスペースを狭くするとR(抵抗)も下がり50Ωにマッチングすることが難しくなります、そこで1/16波長よりも少し大きめな点「1/15波長が最適ポイント」と決めこれを使う事にしました。

 この程度スペースを狭くするとHB9CVと八木アンテナとの利得差がパソコンによるとほとんどありません、HB9CVは給電部が2ヵ所あるので、利得が同じなら給電部が一つしか無い八木アンテナの方が製作は楽で簡単です。


寸法図

材料と加工は!

 この実験をする為に全て新規に作る事も考えましたが手持ちのHB9CV(マルドル製ですが現在[98/7]は市販されておりません、コメット社から同等品が販売されています)を少し変えて作る事にしました。

マッチング部分

 寸法はパソコンのDATAとほとんど同じなのでエレメントはそのまま使いブームは新たに用意しました、長さは15mバンドの1/15なので1mになります、力もそう加わらないので太さ25mmのアルミパイプを使いました。

 マッチングは元々ガンマーマッチなのでこれもそのまま使う事にした、中央を切り離して給電する方法も考えたのですが(これの方がFBと思われる)切らなければ元に戻す事も出来るのでこの方式としました、この辺は図をご覧ん下さい。

 エレメントブラケットはパイプを貫通する方式なので、穴開け加工は手間取りました。

 エレメントがブームに対し直角でしかも水平に止めなければなりません、3mmから4,5,6mmと順次ヤスリを掛けながら、細いパイプを差し込んだり水平度を確認しながら穴を順次広げて開けました。

SWR

 エレメントはそのまま流用したのですが「大事なのは長さ」ですから自作されてもかまいません。

 最近DIY(ホームセンター等)でアルミパイプは手に入ります、2m物が良く売られているのでこれを利用し寸法図を参考に製作して下さい。

 コンデンサーを取り付ける物(15KB)はガラスエポキシ基板を使いました、基板の表面をカッターで左右に分けコンデンサーを取り付けます、ここはインピーダンスが低いので防水程度の保護でOKです。

調整する

SWR

 当初マッチングロッドとショートバーだけで調整した所、SWRは[1.25]と下がりませんでした、それに共振周波数が21.83MHzと高くなり過ぎています。

 周波数を下げる為にエレメント先端に各10cmのアルミパイプを追加して周波数を下げました(寸法図は調整後の物です)。

 SWRはショートバーの位置調整だけではだめで、コンデンサーを入れて下げました。
 容量はエアバリコンを使って(19KB)調べた所180-250PFで合います。使うマッチングロッドの太さや間隔・ショートバーの位置、アンテナ自身の高さそれに周りの環境等によって微妙に変わります。

 最終的にはエアーバリコンをアンテナに付ければ良いのですが200PF前後の固定コンデンサーでも使えます、手持ちの関係で220PFを付けて見ました。

ビーム

 コンデンサーを入れるとショートバーの位置調整はかなりラフになり簡単になりました。

 また、「ショートバーの位置で共振周波数が少し動く」ので周波数の微調整としても使えます、これはタワーでの調整作業が手が届く位置にあるので助かります、なをマッチングの位置は中央から60cm前後でSWRが下がりました、この前後が目安でしよう。

 SWRはRの変化は少ないが、共振周波数は鋭く変化するのでSWRは[1.1]程度まで下げたいです。

 CWマンなら21.10MHz、SSBで21.25MHzでしょうか、作った物はSWR表の通りです、パソコンで調べたSWR予測よりも広くなりうれしい誤算です、これは地上高が低い為(測定は7m高)とガンマーマッチ部分が広帯化を促した物と思われます。
 これよりバンド幅を更に取りたい場合は
A.エレメントのパイプを太くする。
B.スペースを広く取る。

 等が考えられます、しかし初期の目的から離れるのでこれで使う事にしました。

全体の写真

下から見る

運用して見ました

 出来上がった物(50KB)は写真の様にかなりエレメントが接近しているのでエレメントの長さが感じられます。

 全体がダイポールより少し大きい程度で建てられ、手軽に上げられるのが特徴です。

 アンテナを回してフロントでS9やS7の局がサイドでSメーターが触れない程(IC-726で)低下したので20dB以上は下がっているようです。

 ただHB9CVのような位相給電式アンテナに比べるとサイドの切れが少し悪い感じです。

 「F/B比(フロント/バック)は10dB程度でしょうか」こちらはかなり抜けています、F/B比を上げると大事な利得が低下するのでこの程度がベターと思われます。

 利得は2つのアンテナを建てて比較してませんが、パソコンのDATA[4.4dBd]を信じるとダイポールアンテナで聞こえない局とQSO出来るしFBです「このアンテナは使える」という感触を得ました。

 なを、デイレクターを付けた3ELに付いても検討しましたが、狭くて利得のある美味い位置関係は発見出来ませんでした。

 HFのローバンドでアンテナを考えている方にこのアンテナのアイデアはおすすめです、特に7,10,14MHzで価値あるアンテナと成りそうです、お試し下さい。(BY JA1HWO)

材料表
材 料項 目数量
アルミパイプ1m 25mm1本
アルミパイプ2m 16mm2本
アルミパイプ2m 13mm4本
アルミパイプ1m 10mm5本
アルミ板シヨートバー用70X15X2mm2組
アルミ板コネクター用50X20X2mm1枚
止めビスナット4mm2組
タップビス3mm16個
エレメント・クランプ 2個
マスト・クランプ 1個
Mジヤック(ねじ式)1個
ガラス基板20X15X1.6mm1枚
マイカコンデンサー220pF1個

1998/7 製作 2001/1 html 変換



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