10mバンド
ヘリカルホイップ・アンテナ[U]

 ↓10mバンドの簡単な使い方

 初めに

毎年4月後半から8月までEスポシーズンになり、HFのハイバンドや50MHzはにぎやかになります。

HFで許可されているFMモードは10m(テンメーター)バンドで使えます、Eスポの時期は信号も強いので簡単なアンテナでQSO出来、ハンディ機で育った人たちも多く出て来るので仲間も多く楽しめます。

このバンドは50MHzよりもオープンが長いのでゆったりQSO出来るのも特徴です、FMモードは込み合ってますがSSBだとバンドもがらがらで無制限と言う感じです。

2m,430MHzでFMをやっている人達にとって国内DXが簡単に出来るので人気になるのは当然でしょう、ただこのバンドはFMのチャンネルが少ないのが玉に傷です。

以前、10mFMグループが使っているホイップアンテナを紹介した事が有りますが、材料のホイップアンテナやコパテープ、電気工事で使うパイプ等が特殊で「材料が手に入らない」と言う話を聞いたので今回入手の容易な物で作り直しました、材料は簡単に手に入ると思いますのでぜひ製作して下さい。

全体

 アンテナは小さいのでとびの方は知れてますが何しろ小形に作れるのが魅力のアンテナです。
 構造と動作

  動作は1/4波長の一般的な「短縮されたモービルホイップ」です、マッチングはコイルを使ったLマッチで合わせる方式としました。

全体の長さは50cmと短くしました、これは市販品として70cmから2m程度のアンテナが良く売られている為でやはり少し短い物が使い易く欲しかったからです、ただ短くすると利得がどんどん低下するので妥協してこの長さになりました。

それに、何本かホイップアンテナを作った経験から先端に容量を持たせるアンテナの方が飛ぶ様なので今回もその方式にしました。

電圧

長さを変更しなければ全体図に示した寸法で製作すればマッチングは合うと思います、もしマッチングが多少ずれても調整の範囲内でSWRは下げられます。

寸法図

 材料集め

  このアンテナは前記の様に特殊材料を使わないので、大きなDIY(ホームセンター)へ行けばアンテナ材料が手に入ると思います。

エレメントは塩化ビニールの水道管で色はねずみ色です、これは「VP-13」と指定すればたいてい売っています。

2,4m物が多いのですが場所によって短い1m物が売っているので探して利用しましょう。 グラスファイバー製の釣り竿の一部を使うと軽くてFBです、ただお値段が張りますが好みでお使い下さい。

銅線は18#の1.2mmφ、銅板は0.3mm厚でこれらもDIYで手に入ると思います。
他にタップビス、ラグ板(圧着端子でも可)、コネクター(MP-7)が必用です、DIYやハムシヨップ、通信販売等で探して下さい。
コネクターMP-7はちょうど水道管VP-13が入ります、メーカーによってきつい物が有りますがその時は塩ビの水道管とコネクターをガスコンロ等であぶりながらペンチを使って押し込む。
 すると水道管が軟らかくなり広がって入ります(火傷に注意)。

コネクター部

全体

部品参考
水道管VP-13 30cm1本
コネクターMP-71個
銅線1.2mm(#18) 5m
銅板50*150mm 0.3mm厚1枚
ビスタップビス3mm3個
 加工や製作の手順

調整にはSWR計が必用です、出来ればハムバンド外が測れるアンテナアナライザーが有るとFBです。

最終調整は測定場所の回り10m程度何も無い空き地等で動作の確認をする事をお勧めします、その後接着剤を塗って保護し完成です。

先端は電位が高くなるので金属が接近していないようにする。

先端部

@水道管を金ノコで40cmに切り、先端に銅板15cm幅を丸めてポンドを付けて貼り付けます、これで全体の長さを50cmにします、5cm分が二重になり銅板部分は半田付けをして筒状にします、先に筒状にしてから差し込んだ方がFBかも知れない。

Aコネクターに銅線10cmを付けて水道管に取り付けます(給電部)、水道管とコネクターをビス止めして骨組みが出来ました。
ここはタップビスで止めるか、タップを切ってビス止めします。

主に走行中に使いたい場合、強度が不足しますのでビス止めを複数にしコネクターは動かない様に半田付けします。
B1.2mmの銅線4mをスペース無しで水道管に巻き付ける(約70回)、写真のようにタップビスを上部に取り付ける、片方を下のコネクターの線に半田付けして一方を上部のビスに巻き付けます、この時コイルのスペースが均等に成るようにていねいに広げます。

C下のコネクターと水道管の止めをビスにラグ板を付け給電部との間にLマッチのコイルを取り付けます(図を参照)。

このコイルは銅線25cmをU字形に曲げて付けます(先を細くする)、ちょうど2回巻きぐらいです(次ページに写真有り)。

SWR図

DここでSWR計を使い「SWRが下がっているか」を調べます、この時周波数を合わせて無いので共振周波数はずれているかも知れません、なを共振周波数はSWR曲線で一番凹んだ点です。

29.0MHz以下になっていればOK、ここで先端10回程度残してエポキシ樹脂系接着材を塗って銅線を固定します。

接着剤は30分乾燥の物で仮止し、価格の安い6時間物で塗り固めるときれいに仕上がります。
もし、周波数が高い場合(29MHzを超える)巻き数が不足しているので銅線を巻き加えて下さい。

E乾燥後先端をほぐし周波数を29.15-29.20MHzに合わせます、SWRもLマッチ部分で微調整します。

F調整が終了したら、上部を半田付けし接着剤をすべて塗って完成です。
 マッチング部分

マッチング図

マッチングの写真

 試してみます!

 出来上がったアンテナは50cmとそう長くは有りませんので車で走りながらローカルとは問題無くQSO出来るでしょう。
 Eスポも国内全域とQSO出来るしうまくすると海外まで交信出来て10mバンドを十分楽しめます。

 なを、アンテナ自体が短いのでバンド幅はSWR表の通り広く有りません。
 更に広げたい場合全長を長くしなければなりません、この時周波数を合わせるのにコイルの巻き数を減らします。

 パワーは50W程度までOK、スペースを取って巻いて有るので熱が分散され発熱はあまりしない。
 コイルは接着剤で一応保護して有りますが、雨や霧に対しむき出しに近いので雨以外の時使って下さい。

 10mFMはチャンネルが少ないのでバンドが開けていたら長時間(連続2時間を超えて)の独占をしないように、マナーを守り交代で利用しましょう。

 このバンドEスポ時期に出てますので聞こえてましたらよろしく! 73

1998/3 - 2001/1 by JA1HWO

10mFMバンドの簡単な使い方

《》 Eスポ 《》

 毎年4月末から8月まで信号が強力に入感します、この時期は国内各地の信号がローカル並みの強さで入るので簡単なアンテナと10Wで十分楽しめます。

 春と秋から冬へのDXシーズンには国内がスキップして聞こえず、DX局がFBに入って来ます。
 最近は外国と言っても日本人が外国から運用する機会も多いので思わぬ所と簡単に交信出来ることが有ります。

 まれですが、Eスポでかなり近距離(100-200Km)が開ける事が有ります、時間的には11時前後30分程にチャンスが有ります。

《》 周波数区分 《》

29.000-29.090 FM 10KHzセパレート(スーパーナロー)
010 020 030 040 050 060 070 080 090
29.100-29.280    FM 20KHzセパレート
120 140 160 180 200 220 240 260 280
29.300 FM メインチャンネル
29.300-29.500 衛星通信用
29.510-29.590    レピーター入力
29.600 FM DX
29.610-29.700    レピーター出力

☆普通は29.100-29.300MHzを使って下さい。
☆チャンネルが有りません、交代で利用しましょう。
☆開けている時はQSLの交換等手短に用件のみで!

《》 その他 《》

 海外局は時折、日本で使っている周波数と異なる所で運用している事が有ります。
 私たちは「アマチュアバンド使用区別」に注意して運用しましょう。


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